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ゆきずりの少女 後編

礼賛する本の影響を受けて書いた短編です。 後編


「ゆきずりの少女 後編」


 女体で味わうセックスへの興味に抗えず、俺は少女のカラダを乗っ取ったまま男とホテルに入った。
「いやぁ、まさか君みたいな若い子があんな場所であんなことしているなんてねぇ」
 並んでベッドに座ると、男はいやらしい笑みを浮かべながら俺に擦り寄ってくる。



 ゴツイ手が俺の華奢な肢体を這い回り、トイレでの絶頂がいまだに後を引くカラダから新しい快感が芽生える。
 自慢できるほどの大きさではないが感度の良い少女の胸を、制服の上から優しく揉まれる。自分でするのとは違った感覚に、早くも欲望のスイッチが反応した。
「んっ……ぁんっ、うぅ、ふぁっ、ぁんうっ……」
 慎ましく喘ぎながら、されるがままになる。
 男は真面目そうな容姿に反して女慣れしているのか、滑らかな愛撫だった。
 制服の第二ボタンだけを外され、隙間に手を差し込まれる。ブラジャーの上からこね回すように何度か胸を揉まれ、ためらいを感じさせない動きで谷間から乳房に潜り込んで来た。
 太い指が乳首にこすれ、強い痺れが走る。
「んっ、ふううううッ」
 甘い声を上げて、俺は上半身のもたらす官能に悶えた。
 秘部と一緒に自分で弄り回していたときに比べると少し弱いが、充分すぎるほど気持ちいい。性感のほとんどがペニスに集中する男の快楽とはやはり違っていた。
 先端部は固くしこり、男の無骨な指でも楽につまめるようになっていた。俺の意思とは関係なく動く他人の手が、驚きと快感を同時に与えてくる。
「ひゃうんッ。ふっ、んくぅ! きゃふぅッん!」
 乳首をひっぱられた瞬間、頭の中が真っ白になった。
 それは一瞬でおさまったが、何が起きたのかすぐには理解出来なかった。
 身体全体が息苦しく、荒々しい呼吸を繰り返す。
 快楽というよりは、痛みに近い感覚だった。性急な愛撫に、少女のカラダが追いつかなかったのかもしれない。
 だが、その痛みすらいつしか女体の疼きに変わっていた。
 高まる鼓動が耳の奥で響いている。
 全身が、熱い。
 トイレで慰められ、力強い愛撫に悦ぶ少女の肉体は、すでに潤っている。股間に食い込むほど下着を濡らし、男を受け入れる準備を整えていた。
「はあ、はあ……! んぅっ!」
 俺の期待に添うように、男の手が下腹部へとおりてくる。
 スカートの上から股間をまさぐり、女の女たらしめる部分を指の腹で執拗に押さえつけてきた。
 女の制服を着たまま女として気持ち良くされるのは悪い気分ではない。だが今は、もっと強い刺激を求めていた。
 服越しの愛撫だけでは、もどかしい。
「なあ……んっ、早く、いれてくれ……あんっ」
 蕩けた瞳のまま、セックスをねだる。
 同じ男として、これで堕ちないはずがないことはわかりきっていた。


 男がズボンを下ろすと、勃起したペニスがあらわになる。
 初めて正面から見る凶暴な形にやや気後れするが、これが今から自分の中に入るのかと思うと子宮がきゅんとした。
 男は物欲しそうに俺の唇を見つめていたが、その視線には気付かないフリをする。セックスに興味はあっても、他人のペニスに奉仕するつもりはさらさらなかった。
「んっ……ほら、もう、こんなになってるから……な?」
 俺は男に背を向けると、陰唇を指先で開き挿入を促す。
 奉仕をして貰えなかった男は少しだけ落胆した様子だったが、肉棒を求めてヒクヒクとうごめく少女のアソコを凝視し再び喉を鳴らした。
「じゃあ、行くよ……」
 男が少女の細い腰を掴み、剥き出しになったペニスを入り口に擦り付けてくる。
 腫れ上がったクリトリスに、亀頭の先端が当たった。
「んん、ふあぁっ……うぅんっ!」
 竿の部分が秘唇の間を前後に動き、愛液を塗りつけていた。
 挿入の前段階だとわかっていても、焦らされているような気分になる。
 そういえばこのカラダは処女なんだろうか? 見た目はやや幼げだが、遊んでいる感じではない。
 だが、どちらでも構わない。女しか経験できない破瓜を男の自分が味わうのも、それはそれで興奮する。
「はぁ、はぁッ、ぁ、んんっ! はや、く……なか、いれて……ふあぁぁッ」
 何よりも、欲情したカラダをこのまま放置できるはずがなかった。
 男は荒い息を吐いて、腰を突き出してくる。
 期待と官能に濡れていた肉穴が広がり、思ったほどの抵抗もなく男のペニスを受け入れた。
 少女の細い指を何本挿入しようとも及ばない、太く硬い感触が自分の中にずぷずぷとめり込んでくる。
「はぁっ、ふぅ、ふあぁっ! あぁ、はぁッ、んはぁ!」
 体内に異物が侵入してくる感覚は、いままで味わったことのない快楽だった。
 女体のもたらす全てが男の俺には未体験のものばかりだ。しかしこの快楽は、いままでと全く違う方向性を持っている。
 気持ち良さに加えて、充足感が全身に満たされていた。
 予想していたような痛みもなく、このカラダが経験済みだと初めて知る。
 膣内を擦れるペニスの感触に脳髄が痺れ、熱さに思考が溶かされそうだった。
「はっあぁあ! きゃふぅっ、んひぅっ! ん、くあぅんッ!」
 悲鳴のような声を上げて、女として味わうセックスに酔いしれる。
 ゴツゴツとした肉棒が膣内をえぐり、押し込まれる。息苦しさと同時にやってくる強大な快感が、身体の隅から隅まで流れ込む。
 肉襞がカリ首に引っかかれるたびに、小さな絶頂が頭の中で何度も弾けた。
 押し込まれ、引き抜かれ、男の先走り汁と自分の愛液が腹の中でかき混ぜられる。
 頭がおかしくなりそうだった。
 理性のタガが外れ、男と一緒に獣のように喘ぐ。
 自分の口から出る声は子猫のように愛らしく、必死で腰を振る男の呻き声は、むしろ滑稽ですらあった。
「ふおおおっ……! くっ、なんてキツさだ……! うおおっ」
「あっ、あはぁっ、ははっ!」
 ペニスの快楽はもちろん知っている。しかしそれは女の体に比べればずっと弱い刺激だ。
 男では味わうことのできない快感を自分だけが知る優越感は、興奮をますます加速させた。
「ふぅんぅっ! はぁぁあぁっ! あっあっあっ、あひぁうううっ!」
 ベッドのシーツを握り締め、飛びそうになる意識をギリギリのところでつなぎとめる。
 壁にかけられた全身が映る鏡を見ると、半脱ぎ状態の制服姿の少女が男に後ろから突かれていた。
 その表情は快楽に蕩け、非常にいやらしい。それが今の自分だと理解した瞬間、膣内が一気に収縮する。
「ぐう! そ、そんなに締め付けたら……!」
 膣の中で肉棒が膨れ上がり、硬さを増した。
 男の動きが少しだけ鈍くなり、腰を掴む手には力が込められる。
「ふあっ、ぅふんっ! はぁっも、もう、イクのか? 出すのか? ゆきずりの女のナカに、精液、ぶちまけたいのか? はぁ! あはぁ!」
 煽る俺の言葉に乗せられたように、男の動きが再び激しくなる。
 子宮の入り口を何度も叩かれ、俺は言葉すら忘れひたすら喘いだ。
「んふぅっ、んんっ! きゃあああうんっ! くああっひぐ、あひっ! ふああああんッ!」
 唸り声を上げて悶え狂い、全身を引きつらせる。
 肉棒を逃すまいと膣がすぼまり、きつく締め付けていた。慌てふためくような男の情けない喘ぎ声を背中で聞きながら、俺は絶頂を迎える。
「あはっ! あっ、あああああああああああああッ!」
 オナニーのときよりも激しい快感が爆発し、頭の中が真っ白になった。
 ほぼ同時にペニスが痙攣し、ほとばしる精液が子宮を叩きつける。
 勢い良く放たれた精液は膣内におさまりきらず、淫らな音を立てて入り口から白濁液をこぼした。
「あ……はぁ……っ、は、はひっ……」
 ベッドに突っ伏し、二度目となる絶頂の余韻にまどろみながら思う。
(女って……最高だ……)
 俺はもう、この快楽の虜になっていた。



 シャワーを浴びてベッドルームに戻ると、既に男の姿は消えていた。
 サイドテーブルに置かれた約束の金に気付き、再び笑いがこみ上げてくる。
「まったく……あんな気持ちいい思いした上に、金まで手に入るんだからなぁ」
 この国で一番愛されているだろう男の顔を眺め、すくい上げるように自分の胸を揉む。
 バスルームでも劣情がおさまらずにオナニーをしてしまった。女のカラダは、本当に底なしだ。
「……にしても、俺の身体はどこにいったんだ?」
 今更ながら、そんなことを気にする。
 この少女に乗り移ったはいいが、代わりに自分の体が消えてしまった。だとするなら、俺はこの先、一生女として生きていくしかないのだろうか。
「……それも悪くないけどな」
 とはいえ少女のことはまだ何も知らない。住所はおろか、名前すら知らないのだ。
 何か身元のわかるものはないかと、脱ぎ散らかしたままだった制服を手に取る。
「ん?」
 スマホが点滅しているのを見つけ、興味をそそられる。
 これからこの少女として生きるのなら、人間関係は把握するべきだろう。もちろんそんなものはただの建前で、少女の私物を無断で覗き見する行為に背徳感と快感を得ていたのは言うまでもない。
 未読のままのメッセージが大量に入っていた。
 「今着いたんだけど」「どこにいるの?」「おーい」「帰っちゃった?」。男のアイコンが呟く気安い台詞の数々から、どうやらこの少女とデートの待ち合わせをしていたらしい事がわかる。
「カレシがいたのか……」
 これで、見た目に反して処女でなかった理由がわかった。
 つまり俺は、彼氏とのデートで心を弾ませていた少女のカラダを奪い、あまつさえ、ゆきずりの男を相手に中出しセックスまで許してしまったのだ。
「ふっ、ふふっ、あはっ、あははははははははっ!」
 幸せなカップルの関係に、恋人自身の手でヒビを入れてしまった。
 罪悪感。それを感じるべきはずなのに、俺の心に去来したのは愉悦だった。
 女の尊厳を踏みにじった爽快感。他の男が所持していた女を奪い取った支配感。それらで心が満たされ、全身がゾクリと震える。
「やばい……これ、やばい……最高じゃんか……! はぁ、っ、あ、ああ……っ!」
 息苦しいほどの感動におののき、頭の中が至福に染まる。
 気が付けば俺は、待ち合わせで有名な銅像の前に立っていた。
「え……おおっ?」
 白い肌と興奮を誘う双丘は跡形もなく消えて、スーツを着た男の体がアスファルトの上に立っている。
 足元には俺が好んで吸う銘柄のタバコが落ちていた。
「元に戻った……のか?」
 ショーウィンドウのガラスには、本来の俺の姿が映っていた。
 だが、さっきまで自分のモノだった少女はどこにもいない。明るい街の灯りが、眠らない街の日常を照らしているだけだ。
「おい、いまどこにいるんだよっ」
 男の声に振り返ると、少女のスマホで見かけた顔が電話口に向かって叫んでいた。
 周囲は何事かと眉をひそめるが、すぐに興味をなくし自分の携帯に視線を戻す。
 何があったかわからないし、関わりたくもない。それが普通の反応だ。
「覚えていないって……なんだよそれ。な、泣いてるのか? とりあえず落ち着いてくれ!」
 何があったのか、何が起きているのか。電話口の相手が今、どんな状況にいるのか。
 俺だけが、全てを知っている。
「くくっくくくく……!」
 胸にたぎる黒い悦楽をかみ締めながら、俺はその場から立ち去った。
 懐から新しいタバコを出し、火をつける。
 次は、どんな女に欲望をぶつけてやろうか。
 煙をふかしながら、俺は道行く女たちに視線を向けた。






歩きタバコをしてはいけません
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