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憑依ゲーム STAGE.2

更新速度は極遅です……

謎の男に捕らわれ、親友や家族に憑依した『誰か』の名前を当てるゲームに参加させられた少女の話です


・亀梨聖礼(かめなし せいら)主人公
・亀梨優心(かめなし ゆうら)セイラの妹。
・鬼柳(きりゅう)。テレビに映る、ゲームの仕掛け人。うざい


憑依ゲーム ステージ2


◇ 『亀梨ユウラ』

 バカな奴だ。
 鰐村とやらを、僕は心の中であざ笑う。
 亀梨セイラがこのゲームを攻略するには、憑依した僕たちとの会話が絶対に必要だ。彼女に勝機を一ミリたりとも渡したくない気持ちはわかるが、ルール違反をすれば司会者気取りの鬼柳が介入してくるのは予想のつくことだった。
 あきらかに頭の悪そうな男だったから、そんな可能性など考えもしなかったのだろう。
 結果まんまと名前を言い当てられ、鰐村は『因幡勇魚』のカラダを失った。
 手を貸してくれる人間が自分の味方だとは限らない。
 同様に、助けた人間が感謝を示すとも限らない。
「……ワタシはもう、あなたと一緒にいたくない」
 鰐村から解放された因幡勇魚は、彼女との絶縁を望んだ。
 それを聞いたセイラの顔は実に心地良かった。信じていた人間に崖から突き落とされたような顔。何が起こったのかわかっていない様子で、戸惑いが徐々に滲み出てくる。
「ど、どういうこと? 私は、イサナを助けたんだよ? 恩人なんだよ?」
 声を震わせ、ずうずうしくも恩を押し付ける。それはやがて怒りへと変わり、亀梨セイラの人間性が少しずつ露呈していった。
「忘れたの? イサナが女の子の下着をクンクンしている写真、私が持っているんだからね」
「……」
「イケメンで、運動も出来て、王子様って言われているみんなの憧れ『因幡イサナ』が、そんな変態だって知られたら、もう学園にいられないよね? 大好きなバレーだって続けられない。あなたは犬なの。いままでみたいに、盗ってきた下着に鼻をこすりつけてハアハア盛っていれば、それでいいの!」
「…………もう、君には付き合い切れないんだ」
 激昂するセイラに、因幡はただ一言そういい檻の中から出て行った。
「裏切り者! 後悔させてやる! 絶対に!」
 立ち去る『親友』に罵声を浴びせるセイラを見て、僕は改めて思う。
 鰐村もバカだったが、彼女は更にひどい。
 なんて救いようのない人間なんだ、と。


「次はあなたの妹、『亀梨ユウラ』さんと対決してみましょうか! 麗しき姉妹愛を、ぜひとも見せていただきたい」
「……いいわ、やってやろうじゃない」
 姿を消した因幡への怒りが収まらないといった感じで、彼女は苦々しく鬼柳の言葉に頷く。
 ユウラ。
 僕の恋人の。そして今後は僕自身のものとして使われていく、愛しい名前。
 名前だけじゃない。どれだけ寄せても谷間など作れそうにないスレンダーな胸も。細い喉を通り抜ける呼吸も。口の中に溢れる唾液や歯の内側に当たる舌の感覚も。
 ユウラの何もかもが、今は僕のものだ。
 好きな女の子とひとつになり、好きな女の子が感じる全部を自分の物として味わうことができる。恋人同士でも、家族になろうとも決して味わえない一体感を拒む選択など、どこにもない。
 まさに、究極の愛の形だ。これ以上の幸せが一体どこにある?
「……うん?」
 セイラは、挑むような目つきで僕を……『ユウラ』を睨んでいた。
 妹を溺愛する彼女が、おそらく一度もしたことのない敵意の篭った眼差し。そんな表情を見るのは初めてで、つい嬉しくなる。
 僕は『ユウラ』の頬を吊り上げ、ゆっくりと彼女に近づいた。
「愛する者に憎しみの目を向けるのは、どんな気分です?」
「あんたには関係ない!」
 挑発をすると、面白いほど激昂してくれる。かつて自分を追い詰めた女が、自分の一挙手一投足で大きく心を乱しているのだと思うと、とても興奮した。
 鬼柳の誘いに乗らなければ決して味わえなかった快感が、カラダの芯まで染み渡る。
「ユウラのカラダで変なことする前に、絶対に追い出してやる……」
「ふーん? 変なこと、っていうのは……」
 僕は両手をスカートの中に入れ、ショーツの端をつかんだ。
 太ももを撫でこするように下着をそっと下ろし、足から抜く。ノーパン状態になると、制服のスカートが今まで以上に頼りなく感じた。
 ちょっとでも風が吹けば、ユウラの大事な所が丸見えになってしまうスリルに、股下がぞくぞくと震える。今は室内で、ギャラリーなどいないに等しいが、このゲームに勝ったら街中で同じことをしてみようとひそかに決意した。
 ユウラの恥辱を、僕が代わりに味わうのだ。
 想像すると、下腹部がジンジンと熱くなる。
「くっ……し、質問に答えなさい!」
「聞き方がなっていないなぁ? ……まぁ、いいけど」
 受け答えはするが、手は休めない。
 背中に手を回してブラジャーの感触を確かめると、ブラウス越しにホックを外した。やや手こずったが、ユウラの身体に染み付いた習慣のおかげで初めてにもかかわらずすんなりと出来る。
「あ、あんたは……鰐村を知っていたの?」
「いいえ」
 続けてブラウスのボタンを外し、喉元と胸元を開放。肩紐をずらすと、シャツの中からブラがこぼれ落ちる。
 カップのおかげでわずかに盛られていた胸が、いよいよ絶壁になった。
「私が、女子校に通っていることは?」
「知っている」
 セイラは今、僕との共通点を探っている。おそらく可能性を一つ一つ潰し消去法で僕の正体を割り出すつもりだろう。
 ダイレクトな質問を禁止されている中では、最善手だった。
 しかしそれには、冷静さが必要になる。
 僕はブラウスとブラを脱ぎ捨て、ユウラを裸にした。
 乳首の先が外気に触れ、ほとんどふくらみのない胸先がピクリと震える。
 スカートははいたままだが、上半身裸でさらにノーパンと言う状態は全裸よりもいやらしく感じた。
「ユウラが……その体が、私の妹だってことは知ってた?」
「はい」
 僕の行動と制限時間付きの状況は、彼女の平静を乱す。焦りはさまざまな可能性を見落とし、質問の内容も雑になった。
 ダメ押しとばかりにセイラとの距離を詰め、彼女の手を握る。
 強気な眼差しでいるくせに、指先が小刻みに震えていた。
「ふふっ、怖いの? ね・え・さ・ん」
「ゆ、ユウラの真似、しないで!」
「真似じゃないよ。だって、今日から私がユウラなんだから」
「……か、家族のことは? 私の、家族構成」
「もちろん知っているよ。お父さん、お母さん、姉さんに私」
 詳細まで答えたのは、油断じゃない。
 ユウラの体になったものの、今の僕は彼女の記憶を持っていない。思い出すのは僕自身のことばかりだ。
 だが、こんな風ユウラの口調を使い、ユウラの情報を当然のように口にしてみれば、きっとセイラは記憶を読み取ったと勘違いする。
 僕が亀梨家の家族構成を知る立場の人間ではないかもと、判断を鈍らせる。
 セイラはテレビ画面のタイマーにチラリと視線をやり、苦し紛れのように呟いた。
「あ、あんたの……年齢は?」
「おっと、アウトです! 亀梨さん、アウト! その質問は『亀梨ユウラ』さんの正体に抵触します!」
 僕が質問に答える前に、テレビから鬼柳の楽しそうな声が響く。
 年齢を特定されたところで正体が一気にばれるとも思えないが、出来れば明かしたくなかった情報だ。
「ペナルティとして、今から十分間、質問を禁止します。もちろんカウントダウンは続けますので、今のうちに質問する内容を絞った方がいいと思いますよ?」
「なっ……!」
「へぇ……」
 怖いぐらいに順調だった。
 これでセイラは実質制限時間の約半分を失ったことになる。そして、質問を吟味する猶予をむざむざ与えるつもりもない。
「姉さん」
「ユウラの真似しないでって……んぅっ!?」
 僕は彼女の頬に手を添えると、セイラの唇を奪った。
 ついばむような軽い口づけを何度も繰り返し、潤いのある唇を甘噛みする。
「んっ、んんんーッ」
「姉さん……私にも、して? はむっ、ちゅ、ちゅぅっ」
 美人姉妹の二人が舌を絡ませあい、唾液を交換し合う淫靡な光景。その中に本来の自分がいないのは少し口惜しいが、姉妹の片割れとしてその光景の一部になるのは悪い気分じゃなかった。
 ぬめぬめとした肉の塊を美少女の口内に押し込み、生々しい歯茎の感触や虫歯のない綺麗な歯並びを確かめる。
「んっ、ふっ、ちゅっ、ぢゅううっ、はぷっ、ふにゅぅ」
 互いの口端からはヨダレがこぼれ、猫のような息遣いが漏れる。
 憎らしい相手でありながら、こうしてキスを繰り返していると愛おしさも湧き出てくる。僕はユウラの口角をニィッと歪め、一旦彼女から距離を取った。
「姉さん……セックス、しよ?」
「そ、そんなこと、できるわけ」
「ふふっ、嘘だぁ。いつもシテるじゃない」
「!」
 ユウラの口調のまま無邪気に核心を突くと、セイラは大きな目を更に見開いた。
 そう。彼女はそういう女だ。
 ユウラに、手を出していないはずがない。わかっていたのに、いざその事実を確信すると意外なほどショックを受けていた。
 自分が愛し、大切に触れていくはずだった肉体が、こんな女に食い散らかされたのかと思うと、今すぐ絞め殺してやりたい気分になる。
「……どんな風に触ったの?」
「え?」
「いつもみたいにシテよ、姉さん」
 ユウラの全てと一体化したい。
 見た目も仕草も、姉妹セックスの反応すらも、僕は「亀梨優心」になりたかった。
 その上で、僕はセイラを拒絶する。憑依した誰かではなく『本物』として、この姉貴面をした悪魔を心の底から軽蔑してやる。
 ユウラを奪った犯人を、ユウラと一緒に追い詰め、最後はユウラそのものになれる。
 復讐と幸せを兼ね備えた、とても素晴らしい展開だ。
「さっさとしないと、このまま外に出ますよ?」
 最後の仕上げとして、セイラに都合の良い大義名分を与えてやった。
 妹の野外露出を防ぐには、姉妹でセックスをするしかない。そんな免罪符を発行することで、淫欲に溺れる言い訳を作ってやる。
「……いいわ、してあげる」
 リボンタイを外すセイラは悔しそうに表情を歪め、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
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