留守番少女 アナザー
以前の「留守番少女」の続きです
DL用の書下ろし分や前回の話を知らなくても問題ないと思います
ここに閉じ込められて、どのくらい過ぎただろう。
一か月以上前のような気もするし、ついさっきのような気もする。一筋の光すら差し込まない、どこまでも黒く塗りつぶされた世界。
DL用の書下ろし分や前回の話を知らなくても問題ないと思います
ここに閉じ込められて、どのくらい過ぎただろう。
一か月以上前のような気もするし、ついさっきのような気もする。一筋の光すら差し込まない、どこまでも黒く塗りつぶされた世界。
歩いても歩いても、景色は少しの変化も見せない。そもそも本当に歩いているのかすらわからなかった。
上を向いているのか、下を向いているのかも判然としないまま着地感のない足踏みを繰り返している。
自分の体の輪郭すらつかむことのできない暗闇は時間の感覚を失わせ、私を少しずつ、しかし確実に狂わせていった。
ひょっとすると歩いている気になっているだけなのかもしれない。そう思うとますます不安が掻き立てられて、私は力の限り叫ぶ。
「誰か、助けて!」
悲鳴にも似た絶叫は、誰かの耳にたどりつく届く前に暗闇に飲み込まれていった。
音の反響しない世界は、自分の声すら妄想の産物なんじゃないかと疑わしくなり、私はまた一つ絶望の数を増やす。
音も光もない世界に一人きり。こんな場所に閉じ込められた経緯を思い出そうとしても、何がどうしてこうなったのかまるで分らなかった。
テレビを見ていて、気が付けばここに囚われていた。思い出せるのはそれだけだ。
ここから抜け出す方法があるのかないのか。何もわからない私は、暗闇の中で絶望を繰り返す
「あ……」
唐突に、本当に突然、私の前で明りがともった。
まるで暗い部屋でテレビをつけたような、どこか怪しげで淡い光が、私にへばりついていた闇を払う。
肩を撫でるツインテールの房も、同級生たちと比べて成長の著しくない胸も。カレシにすら触れさせたことのない乳首の色まではっきりと浮かび上がり、自分の────水原千華の体を見下ろせる。
ときどきこんな風に自分の存在を確認できるおかげで、私は何とか正気を保つことができていた。
けど、良いことばかりでもない。
目を細めてまばゆい光を覗き込むと、こことはまったく別の風景が映し出されている。
家のリビングだ。
普段は見ない位置から見てるからか、少し違和感があるけれど、家具の配置や間取りは間違いなく見慣れた私の家のものだった。
とっさに光の中に手を伸ばしても、指先がコツンと固い感触に阻まれこれ以上前には進まない。
自分の行動がテレビ画面に飛び込もうとしているようなものだと悟り、タガが外れたように泣きわめいたのもずいぶん前のことのように思える。
きっと、私のいる空間こそがテレビの中なのだろう。その考えを裏付けるように、外の世界では見覚えのある女の子が動き回っていた。
私だ。
一糸まとわず家の中を徘徊して、頻繁にオナニーを繰り返す淫らな水原千華が映っていた。
ソファを愛液でべとべとに汚して、コンプレックスだった小さな胸を弄り回して、大きく開いた口からはヨダレを滴らせ、無音のまま絶頂する淫靡な自分を、私は眺めることしかできない。
幾度も性器を弄り回し快楽をむさぼる様子は、中毒者そのものだった。
「やだ……もう、やめて!」
叫んで画面を叩いても、「私」の痴態は止まらない。この声が届いているのすら疑わしいぐらいだ。
乳首をこね回し、ぷっくりと腫れ上がったクリトリスを押しつぶし、自分でもあまり触れたことのない膣内を乱暴にかき回して上体を大きく反らす。
ビクビクと太ももを震わせると、私はやがてソファに沈み込んで動かなくなった。執拗に快楽をむさぼっていた両手を投げ出し、肩を激しく上下に揺らしている。やっと満足したようだ。
恍惚とした顔で天井を見上げ、荒い呼吸を繰り返してメリハリに欠ける細い肢体を震わせる水原千華はとても煽情的で、私が今まで出したことのない色香をかもし出しているようだった。
「……気持ちよさそう」
だらしなく弛緩したカラダを見ていると少しずつ嫌悪感が薄れ、そんな言葉を呟いてしまう
自分の痴態を見せつけられるのは、とても恥ずかしい。それなら目を逸らしてみないふりをしていればいいのに、私はいつだってこの光に吸い寄せられ、自慰をする自分を見続けてしまう。
暗闇の世界で、私が水原千華だということを証明するものは今や記憶だけだ。
少しだけ膨らんだ胸の感触や、先端から流れるピリッとした痺れ。お腹の中がキュンと切なくなるもどかしさに、あそこから溢れる蜜の味。
目の前が真っ白になる絶頂と、脳内を蕩かすイッたあとの余韻。
ぜんぶ私のものだったのに、奪われてしまった。この暗闇の牢獄にいた、何かに。
「んっ……」
甘い声を出して自分の胸を触っても、何の感触もない。肌の温かみもなければ、触れられている感覚すらしなかった。
お風呂場で幾度となく見下ろした自分の身体が、まるで精巧な、ただムニムニ柔らかいだけのマネキンに思えてくる。手に力を籠めるとさすっていた胸の形も変わるのに、痛みすら感じない。
「返してよぉ……お願いだから」
私の体。私の感応。
知っているからこそ、強く強く思い焦がれる。
画面の中の私みたいに割れ目をなぞっても、快感のかの字すらこみ上がってこない。快感のスイッチとも言われるほど敏感な肉芽を弄っても、なにも感じなかった。
指を抜くと指先にぬめりのある蜜がまとわりついている。濡れているのに、込み上がるものが何もない。
ふと顔を上げると、画面の中ではまたもや「私」が自慰行為を始め、愛液に濡れた自分の指をくわえていた。
その痴態を眺めながら、私も同じことをする。
何の味もしなかった。
触覚が失われ、音も響かず、無味無臭の世界で視覚だけがイヤガラセのように機能している。エッチな自撮り動画を見ているような気分だった。
いっそなにも見えなければ完全に狂えたのに。壊れることができたのに。
「もうやだ……もうやだぁ……!」
泣きながら泡立つほど膣内をかき回し、クリトリスを思いっきり摘みあげて外の世界にいる私の官能とあわせて喘ぎ声を上げる。
「んっ、んんんっ、んふっ、んんんーーーーッ」
腰が震え、気絶してもおかしくないほどの絶頂を迎えた。
ふりを、した。
「気持ち良く……ない……」
快楽どころか、物足りなさや切なさといった疼きすら感じない。愛液をただ垂れ流して、股間をぬるぬるにしただけだった。
外の世界の私はあんなに恍惚とした顔をしているのに、私はその百分の一すら感じていない。
「え……」
ふと気付くと、「私」は私にリモコンを向けていた。
絶頂したばかりのカラダをふらつかせて、乱れた髪の隙間から嘲笑うような眼差しが覗いている。
「ま────っ」
プツン、と。
光の枠が一瞬で消失し、私のいる世界が暗闇に逆戻りする。
「いや……」
視界が黒く塗りつぶされ、感覚のない体はいくら触っても実在を確かめられない。
「いやあああああああああああああああああああ!!」
絶望は繰り返される。
早くこの心が壊れてしまうことを、願わずにはいられなかった。
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上を向いているのか、下を向いているのかも判然としないまま着地感のない足踏みを繰り返している。
自分の体の輪郭すらつかむことのできない暗闇は時間の感覚を失わせ、私を少しずつ、しかし確実に狂わせていった。
ひょっとすると歩いている気になっているだけなのかもしれない。そう思うとますます不安が掻き立てられて、私は力の限り叫ぶ。
「誰か、助けて!」
悲鳴にも似た絶叫は、誰かの耳にたどりつく届く前に暗闇に飲み込まれていった。
音の反響しない世界は、自分の声すら妄想の産物なんじゃないかと疑わしくなり、私はまた一つ絶望の数を増やす。
音も光もない世界に一人きり。こんな場所に閉じ込められた経緯を思い出そうとしても、何がどうしてこうなったのかまるで分らなかった。
テレビを見ていて、気が付けばここに囚われていた。思い出せるのはそれだけだ。
ここから抜け出す方法があるのかないのか。何もわからない私は、暗闇の中で絶望を繰り返す
「あ……」
唐突に、本当に突然、私の前で明りがともった。
まるで暗い部屋でテレビをつけたような、どこか怪しげで淡い光が、私にへばりついていた闇を払う。
肩を撫でるツインテールの房も、同級生たちと比べて成長の著しくない胸も。カレシにすら触れさせたことのない乳首の色まではっきりと浮かび上がり、自分の────水原千華の体を見下ろせる。
ときどきこんな風に自分の存在を確認できるおかげで、私は何とか正気を保つことができていた。
けど、良いことばかりでもない。
目を細めてまばゆい光を覗き込むと、こことはまったく別の風景が映し出されている。
家のリビングだ。
普段は見ない位置から見てるからか、少し違和感があるけれど、家具の配置や間取りは間違いなく見慣れた私の家のものだった。
とっさに光の中に手を伸ばしても、指先がコツンと固い感触に阻まれこれ以上前には進まない。
自分の行動がテレビ画面に飛び込もうとしているようなものだと悟り、タガが外れたように泣きわめいたのもずいぶん前のことのように思える。
きっと、私のいる空間こそがテレビの中なのだろう。その考えを裏付けるように、外の世界では見覚えのある女の子が動き回っていた。
私だ。
一糸まとわず家の中を徘徊して、頻繁にオナニーを繰り返す淫らな水原千華が映っていた。
ソファを愛液でべとべとに汚して、コンプレックスだった小さな胸を弄り回して、大きく開いた口からはヨダレを滴らせ、無音のまま絶頂する淫靡な自分を、私は眺めることしかできない。
幾度も性器を弄り回し快楽をむさぼる様子は、中毒者そのものだった。
「やだ……もう、やめて!」
叫んで画面を叩いても、「私」の痴態は止まらない。この声が届いているのすら疑わしいぐらいだ。
乳首をこね回し、ぷっくりと腫れ上がったクリトリスを押しつぶし、自分でもあまり触れたことのない膣内を乱暴にかき回して上体を大きく反らす。
ビクビクと太ももを震わせると、私はやがてソファに沈み込んで動かなくなった。執拗に快楽をむさぼっていた両手を投げ出し、肩を激しく上下に揺らしている。やっと満足したようだ。
恍惚とした顔で天井を見上げ、荒い呼吸を繰り返してメリハリに欠ける細い肢体を震わせる水原千華はとても煽情的で、私が今まで出したことのない色香をかもし出しているようだった。
「……気持ちよさそう」
だらしなく弛緩したカラダを見ていると少しずつ嫌悪感が薄れ、そんな言葉を呟いてしまう
自分の痴態を見せつけられるのは、とても恥ずかしい。それなら目を逸らしてみないふりをしていればいいのに、私はいつだってこの光に吸い寄せられ、自慰をする自分を見続けてしまう。
暗闇の世界で、私が水原千華だということを証明するものは今や記憶だけだ。
少しだけ膨らんだ胸の感触や、先端から流れるピリッとした痺れ。お腹の中がキュンと切なくなるもどかしさに、あそこから溢れる蜜の味。
目の前が真っ白になる絶頂と、脳内を蕩かすイッたあとの余韻。
ぜんぶ私のものだったのに、奪われてしまった。この暗闇の牢獄にいた、何かに。
「んっ……」
甘い声を出して自分の胸を触っても、何の感触もない。肌の温かみもなければ、触れられている感覚すらしなかった。
お風呂場で幾度となく見下ろした自分の身体が、まるで精巧な、ただムニムニ柔らかいだけのマネキンに思えてくる。手に力を籠めるとさすっていた胸の形も変わるのに、痛みすら感じない。
「返してよぉ……お願いだから」
私の体。私の感応。
知っているからこそ、強く強く思い焦がれる。
画面の中の私みたいに割れ目をなぞっても、快感のかの字すらこみ上がってこない。快感のスイッチとも言われるほど敏感な肉芽を弄っても、なにも感じなかった。
指を抜くと指先にぬめりのある蜜がまとわりついている。濡れているのに、込み上がるものが何もない。
ふと顔を上げると、画面の中ではまたもや「私」が自慰行為を始め、愛液に濡れた自分の指をくわえていた。
その痴態を眺めながら、私も同じことをする。
何の味もしなかった。
触覚が失われ、音も響かず、無味無臭の世界で視覚だけがイヤガラセのように機能している。エッチな自撮り動画を見ているような気分だった。
いっそなにも見えなければ完全に狂えたのに。壊れることができたのに。
「もうやだ……もうやだぁ……!」
泣きながら泡立つほど膣内をかき回し、クリトリスを思いっきり摘みあげて外の世界にいる私の官能とあわせて喘ぎ声を上げる。
「んっ、んんんっ、んふっ、んんんーーーーッ」
腰が震え、気絶してもおかしくないほどの絶頂を迎えた。
ふりを、した。
「気持ち良く……ない……」
快楽どころか、物足りなさや切なさといった疼きすら感じない。愛液をただ垂れ流して、股間をぬるぬるにしただけだった。
外の世界の私はあんなに恍惚とした顔をしているのに、私はその百分の一すら感じていない。
「え……」
ふと気付くと、「私」は私にリモコンを向けていた。
絶頂したばかりのカラダをふらつかせて、乱れた髪の隙間から嘲笑うような眼差しが覗いている。
「ま────っ」
プツン、と。
光の枠が一瞬で消失し、私のいる世界が暗闇に逆戻りする。
「いや……」
視界が黒く塗りつぶされ、感覚のない体はいくら触っても実在を確かめられない。
「いやあああああああああああああああああああ!!」
絶望は繰り返される。
早くこの心が壊れてしまうことを、願わずにはいられなかった。

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