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宣誓!



絶賛更新停止中の巫です
やっと新作が一本上がったので、一章だけになりますが載せてみようかと


*注意
「絶望 ~青い果実の散華~」の二次創作です。
調べてみたら今月でちょうど発売二十年が経ったそうで、それを記念し、絶望の二次創作を冬に向けて作っている真っ最中だったりします
少女への憑依がメインではない倫理的に完全アウトな問題作ですが、
スポットの当たらない少女への憑依要素がとても想像を掻き立てられ、個別エンドも素晴らしいので、いまだに大好きです

主人公の勝沼紳一に仕える執事、古手川が「絶望」本編を整えるまでの話を予定しています



 絶望二次創作 古手川リバイブ



 ………………
「はて……?」
 気が付くと、私は墓場にいた。
 どうしてこんな所にいるのか、自分が何をしていたのか……とんと記憶にない。
 年のせいか最近は物忘れが多くなりがちだ。とはいえ、年齢を言い訳に雑な仕事をしようものなら、おぼっちゃまから烈火の如きお叱りを受けるだろう。
「おぼっちゃま……? おおっ」
 言うともなしに呟いた言葉を反芻ししばらく考えていると、少しずつ頭の中が冴えていった。
 私の名前は、そう…………勝沼?
 いやいやいや、まさか。そんな思い違いをすることすら恐れ多い。
 ふと、頭の中に酷薄な笑みをたたえる病床の男性が浮かび上がった。その口から紡ぎだされる「爺」という声。そして……。
「古手川……おおっ、間違いない。古手川だ」
 さらに思考を進めると、自身のフルネームからプロフィールまで次々に出てきた。
 勝沼財閥の総帥、勝沼紳一様。その忠実な部下であり、生まれた時からお世話を預かる執事、古手川厳三郎。それが私の名だ。
 蘇った記憶の最後は、自らが起こした少女集団誘拐殺人の犯人として捕まり、首魁の紳一様もろとも死刑に処された所でプツリと途切れていた。
 そう、私は死んだはず。
 名門女子校、エクセレント学園の修学旅行バスをジャックし、何十人もの女を主や他の部下たちと共に何日もかけて犯した、今世紀最悪の強姦魔として我々は華々しく散ったのだ。
 情状酌量の余地もなく、通常ではありえない早さで死刑の判決と執行が決まった。もっとも、当局は事件の全容を世間には明らかにしなかったようだが……。
「地獄に落ちるものと覚悟は決めておったが……これはいったい、どういうことか」
 死刑が執行される直前、私はもっと少女を犯したいと願った。その未練が、黄泉へと引きずり込む引力に勝ったのだろうか?
 つまり、今の私は亡霊か。
 もともと怪物めいた顔と主人からも言われ続けてきたが、まさか本物の化け物になるとは。
「フォッフォッフォッ、人生とはわからんものですな」
 しわがれた、なんとも不気味な笑い声が周囲に響く。こうして喋り、また自身の声が聞こえている以上は口も耳も生前のように機能しているのだろう。
 改めて周囲を見回すと、あたりは墓石で囲まれている。
 苔むして、何年も放置されていそうな薄汚いものばかりだ。雑草は伸び放題で、長らく手入れされていないのだと一目でわかる。
 黒く分厚い雲が空を覆っているためか、いっそうこの場が陰気臭く感じる。しかしここは墓場であり、亡霊が復活するにはこれ以上ふさわしい場所もない。
 しとしとと降り注ぐ控えめな雨が、木の陰に潜む亡者の囁き声にも聞こえていっそう不気味な空気を醸し出していた。
 そういえば、なぜ私は濡れていないのだろう。空を仰いでみても、顔には一滴も雨粒がかからず、薄く透けた手のひらをかざしてみるとするりと通り抜けた。
「なるほど、この身は霊体ゆえにか」
 どうやら幽霊に関するさまざまな俗説はおおむね正しいらしい。だがこれでは少女を犯せない……。
「おぼっちゃま……。おられますか、おぼっちゃま」
 視線を墓場に戻し、周囲を探る。
 私の欲望が地獄の引力に勝ったのだとすれば、当然ぼっちゃまも同じのはず。しかし主の姿はおろか、美少女ひとりいなかった。
「まさか、おぼっちゃまの未練が私に及ばぬはずもありますまい」
 では、すでに復活しているか、あるいは罪の深さ故、私よりも地獄からの引力が強いのか……。
 どれほど時間がかかろうとも、主ならば必ずや黄泉から舞い戻ってくる。そこに疑いの余地はなかった。
 であれば、私は執事として、忠実な部下として、復活を遂げた主の願いがスムーズに叶うよう準備を進めておくことだ。
 少女を犯すための準備を。
 悪夢を、再びこの世に。
「まずは、死んでからどれほど時間が経ったのか……むっ?」
 おぼっちゃまを探すことはいったん諦め現況の把握に努めようとした途端、それまで気にも留めていなかった墓石の文字が見えた。
 みすぼらしい、誰の記憶からも忘れ去られたような墓石に、つい先刻思い出したばかりの名前が刻まれているのを確かめ、思わず驚愕の声が漏れる。
「勝沼家……の墓……? ばかなっ!」
 自分の記憶とは全く違うありさまに、動揺を隠せなかった。
 かつて栄耀栄華を極めた勝沼財閥の墓所とはとても思えない。これはいったい、どうしたことか。
「……」
 愕然としたまま墓を見ていると、雨音に混じって砂利を踏む足音が近づいてきた。
 森の中から、一人の人間がこちらへ向かってくる。すわ美少女の登場かと浮き足立つが、期待に反し現れたのは男だった。
 眼鏡をかけた男は頬がこけ、全身から疲労感を発している。なのに眼光は獰猛さを内包し、やり場のない怒りをその身に秘めているだろうことが感じ取れた。
 男は私のすぐそばまで来て、そこで足を止める。攻撃的な眼差しで勝沼の名が刻まれた墓石を見下ろし、私の存在など目にもくれない。
 そのまましばらく墓石を睥睨し、やがて吐き捨てるように呟いた。
「久しぶりですね。総帥」
 その呼び方で、男が勝沼財閥の関係者だと察する。やせこけた、いかにも貧乏くさい顔をじっと観察していると、かつてぼっちゃまの小間使いをしていた男の面影と重なった。
 地位だけなら側近と呼んでも差し支えのない立場だったが、私やぼっちゃまのような精神構造はしておらず、バスジャック計画にも関わらせなかった。
 優秀だが、人生を楽しむすべを知らず世間が決めた常識を無条件に妄信する凡夫。その程度の男である。
(ふぅむ、ずいぶんと老け込んだものよ)
 落ちくぼんだ眼球と、身の丈に合わないヨレヨレのスーツ姿。白髪交じりの薄い頭髪はだいぶ後退し、顔面のシワも記憶よりだいぶ深く刻まれていた。
 実際に年を取ったのは違いないだろうが、二、三年程度でここまで風貌が変わるとも思えない。
 男は傘をさしたまま器用にタバコをくわえると、火をつけた。かつて仕えていた主人の墓に向かって大きく吐き出した白煙を吹きかける姿には、忠誠心というものが全く感じられない。
「寝心地はいかがです。小さなものですが、それだってあなたには過ぎたものだ」
(こ、こやつ……ぼっちゃまの墓に向かって、なんたる不敬!)
 すぐそばで執事である私が聞いているとも知らず、男は苦虫をかみつぶしたような顔で独白を続けた。
「好きなことをやって、自分勝手に死んで……あなたは満足でしょうが、残されたこっちはいい迷惑だ。取引先の損失に、被害者への賠償金、わずかに残った財産も国によって没収され、勝沼財閥は瓦解した。いまじゃ、ほとんどの奴がその名を忘れている」
 男の口からは、私の知らない情勢が次々と明かされていった。特に、財閥が瓦解した情報のショックは大きい。
(ふん……しかし、自業自得ともいえよう)
 総帥である紳一様がいたからこそ繁栄を築き、また保てていたのだ。
 彼を失ったグループなどハリボテも同然である。財閥の力を使えば主の量刑を軽く出来たかもしれないのに、幹部連中はそうしなかった。
 最善手を取らず、その結果、すべてを失った。総帥を見捨てた部下の末路など、そんなものだ。
「でもな、被害者遺族の方はそうもいかない。殴られた方は絶対に忘れないものさ。わかるか? 何も知らず働いていた俺が、あんたと同じ鬼畜野郎と呼ばれるんだ。おかげで妻とは離婚し、娘とも年に数回しか会えなくなった。……全部、お前のせいだ」
 筋違いの恨み節を聴かされたところで、冷笑以外の感情は湧いてこない。むしろその娘とやらをなぜ紳一様の貢物として捧げなかったのかと問い詰めたくなった。
「フンッ……それも今日で終わりだ」
 憤怒にまみれた形相をいくらか和らげて、男はタバコの火をあろうことか墓石に押し付けた。
「妻は、ようやく俺の潔白を信じてくれた。再婚して、また娘と一緒に暮らせるんだよ。あんたが絶対に手に入らなかった「家族の幸せ」を、もう一度手に入れてやる。……羨ましいか? ざまあみろ!」
(そのようなものを、おぼっちゃまが羨むとも思えぬわ)
 やはりこの男は、根本的に主人のことを理解していないのだろう。的外れな嘲笑ではあるが、それでも侮蔑には違いない。
 度重なる不敬な態度や言葉遣いを看過できるはずもなかった。
 許すものか。絶対に。
「せいぜい地獄でもがき苦しんでいろ。じゃあな」
 男は最後の仕上げとばかりに唾を飛ばし、現れた時と同じ方角へ引き返していく。
 私は足のない体をスーッと動かし、その背中を追った。

 雑木林に囲まれた陰気な道をしばらく進んでいくと、学園の校舎らしき建物が見えてきた。
 いつの間にか雨は上がり、雲間からのぞく月が広々とした校庭を照らしている。かなり遅い時間のようで、あたりは虫の声ぐらいしか聞こえない。
 おぼっちゃまがこれから復活なさるとしたら、お目覚めは先ほどの墓所だろう。肩慣らしにこの学園の生徒から手を付けていくのも良さそうだ。
「む……?」
 気のせいだろうか。いま、無人の校庭を横切る人影が見えたような。
 警備員だとしても、明かりも持たず校舎の裏手に進んでいくだろうか。
「…………まあ、いまは捨ておくか」
 ひっかかるが、まずはこの男に相応の償いをさせなければ。我が主を愚弄し、墓前で見せた数々の無礼は到底許されるものではない。
 男は脇道をそのまま進み、校舎から遠ざかっていく。
 夜中にわざわざ墓場まで来て、したことといえば心底からどうでもいい報告のみだ。
 一生は有限だというのに、おそろしいほど無駄な時間の使い方である。かつておぼっちゃまが認めた才覚は、もう搾りカス程度も残っていないのだろう。
 男は私に気付く素振りすらない。人の目に映らず、やろうと思えば宙に浮くことも可能な霊体は非常に有用だった。
 しかし逆を言えば、このままでは男への報復はおろか、少女の美肉を味わうことも叶わない。
「さて、どうすればいいのか」
 「呪い」という言葉が脳裏に浮かび上がるものの、どうすればそれを発現させられるのか皆目見当もつかなかった。恨むだけで良いのなら、墓場の時点で男はもがき苦しみ息絶えたはず。
 あれこれと考えているうちに、男は住宅街へと続く路地に入っていった。
 勝沼が所有していた別荘の足元にも及ばない、小さくて安っぽい戸建てが整然と並んでいる。ほとんどの窓がカーテンで締め切られ、明かりを落としているその様子はまるで家自体が眠っているかのようだ。
 門前の照明だけが薄ぼんやりと外観を夜の闇に浮かび上がらせ、物音はどこからか聴こえる虫の声だけだった。
 そのうちの一軒で男は立ち止まり、慣れた手つきで門扉を開く。ここがあ奴の住まいらしい。
 男は私の目の前で家のドアを閉じ、鍵をかけた。
 だがこの身は亡霊なればこそ。締め切られた扉に向かって直進すると、思惑通り何の抵抗もなくドアを通り抜けることができた。
「フォッフォッフォ、痛快痛快」
 人ならばどうあがいても出来ぬ所業をいとも簡単にやってのけ、万能感に浸る。老いさらばえ、あとは朽ちるに任すだけだった肉体などとは比べ物にならないほどの快適さだ。
 あとは、少女を犯すことさえ出来れば文句のつけようもない……。
「しかし、狭い家よの」
 人ひとり通るのがやっとの廊下や、二階へと続く急な階段は、いかにも庶民の家らしい。
 電気は玄関先しか灯っておらず、廊下の突き当りからはくぐもったシャワーの水音が漏れ聞こえていた。
 男のシャワーシーンなどに食指が動くはずもなく、そのまま家探しを始める。玄関に並んだ靴を見る限りでは、男の他に女が二人以上いるらしいことがわかっていた。
 おそらく復縁を果たした妻と娘のものだろう。報復という目的で追ってはいたが、実を言うと妻子への興味が理由の大部分を占めていた。
「いやはや、あ奴の目の前で妻子を犯してみせれば、おぼっちゃまへの愚弄に対する報復も達成できますゆえ。これも、ひとえに爺の忠誠心から来るものでございますよ」
 この場にいない主へ言い訳するように、含み笑いを交えて独りごちる。もし目の前に紳一様がいらっしゃれば、「そういうことにしておこう」と言い冷笑を浮かべたことだろう。

 リビングに、キッチン、寝室も見て回ったが、妻子の姿はどこにもなかった。では二階か?
 真っ暗な階段を上がろうとして、ふと別の手段を思い立つ。
 そう動こうと意思を込めてみれば我が身は瞬く間に宙へと浮き上がり、そのままドアと同じく天井を通り抜けていった。
「うぅむ、死んでみるものだ……」
 老いぼれに段差のある階段は不便極まりなかったが、その悩みから解放されただけでもだいぶ気分が晴れやかになる。生前のおぼっちゃまも病弱だったし、良い知らせが出来そうだ。
 主の喜ぶ顔を想像しながらあたりを見回すと机やベッドがあり、布団の上には規則正しい寝息を立てる女の横顔が見えた。復縁したあ奴の妻に違いない。
「これは僥倖。ふむ……おぼっちゃまのお眼鏡に適うかどうかは微妙だが、それなりに上玉ではないか」
 仰向けに眠る女の顔を間近で観察し、まずは醜女でなかったことに安堵する。
 髪は長く、これまで手籠めにしてきた少女たちに比べれば若々しさこそ劣るものの、成熟した色気というものが感じられる。しゃぶりがいのありそうな唇の隙間からは規則正しい寝息が漏れ、亡霊が至近距離で見つめているのにうなされる気配すらなかった。
 たいていの女はどれだけ熟睡していても、私が顔を近づければよからぬ気配を感じてかすぐ目を覚ましていたというのに。これも、霊体ゆえの恩恵か。
「フォッフォッフォ、では遠慮なく……むっ?」
 女のプロポーションを覆い隠す邪魔な布団をめくろうとしたが、半透明の手はドアや天井と同様、布団をすり抜けてしまった。
 いざその時になれば都合のいいように触れられるのかと思っていたが、甘くなかったようだ。ためしに「めくれろ」と念じてみたが、布団は女の寝息に合わせて静かに上下するだけだった。
「ぬぬ……これでは、この世に舞い戻った意味がないではないか」
 私の目的は紳一様にお仕えし、より多くの女をぼっちゃまと共に犯すこと。しかし何でもかんでもすり抜ける霊体では視姦が関の山だ。
 女の下着や裸がのぞき放題ですぞと伝えて、それで満足するお方ではない。むろん、私もだ。
 何か手はないかと女の寝顔を見ながら考えているうちに、またムラムラとしてきた。
「せめて、唇だけでもいただけないものか」
 言って、再び顔を近づけ、女の唇に私の唇を重ね合わせ────
 景色が流転し、全身に衝撃が走った。一瞬にして視界が閉ざされ、それまで感じなかった重みが一気にのしかかる。
「ぬっ、ぬおおお?」
 慌てて目を開け上体を起こすと、振り払われた布団が音をたててベッドから落ちた。
 私はそれを見つめながら、これまで失っていた皮膚の感覚が復活していることに気づく。
 布団を払い除けた右手を見下ろすと、そこのは薄く透けた老人の手ではなく、白く滑らかな、シワのない小さな手があった。
 まるで、女の手のような……。
「いったいこれは……んん?!」
 驚くことに、呟いた自分の声も激変していた。しわがれた不気味な老人の声から、潤いのある高い声に変わっている。
 辺りを見回すと、首筋や頬を細い髪がさらりと撫で付けた。つかんで引き寄せてみると、久しく失っていた黒髪が月明かりに照らされていた。
 視線を下ろしてみれば、自身の胸についた膨らみが薄闇に浮かび上がった。手のひらを添えると肌の温もりと柔かさ、加えて、触られる感覚がある。
 これは……女の体か!
 どうやら私は先程の女の中へ入り込んでしまったらしい。亡霊は生きている人間に取り憑くと聞き及ぶが、まさかここまで明確に主導権を握れるとは。
 意識すると、この体が自分のものになった感覚がみるみる湧き出てきた。
「生身の頃の感覚が戻った……! これは素晴らしい」
 しかも元の老体に比べて遥かに若々しいこの身は活力にも溢れている。
 見慣れない小さな手が自分の意思にあわせて閉じたり開いたりする光景は少し奇妙な感じがするものの、おいおい慣れていくだろう。
 それにしても……。
「フォッ、フォッ、まさか、この私が女になるなどと」
 バスジャック以前にも女を犯し、凌辱を繰り返した醜い老人が、被害者である女そのものになる。なんとも皮肉めいた、笑い話のような状態だ。
 しかし私の悦びはあくまで女を犯し、その悲鳴を聴くことによって得られる。女として生き男に抱かれるなどと、想像するだに吐き気を催す。
 取り憑くならやはり男、それも、出来る限り若く精力に溢れた身体が良い。こうして年齢も性別も違う身体に憑りつけたのだから、不可能ではないはずだ。

 まぁそれはそれとして。
「せっかくの機会、ひとつ試してみるのも面白かろう」
 歪む唇の動きを感じながら、私は自らのものとなった女の肢体に手を伸ばした。
「女になるなどと、めったにできる体験ではないからな……どれ」
 服の上から指先でゆっくりとなぞり上げ、肌に擦れる布地の柔らかさをまずは堪能する。
 いままでは引きちぎるようにして剥いていた女の服も、こうしてじっくり触れてみるとなかなか侮れない心地良さだ。服の中の女体そのものが柔らかいのもあるだろうが、男の服とは素材そのものが違うような気がしてくる。
 程よい肉付きの太ももからくびれた腰へ。中年太りなど無縁とばかりにへこんだ腹を通り過ぎ、男の頃には存在しなかった胸の稜線をたどる。
 ハリがありつつもフニフニと柔らかい手触りは、数多の少女を凌辱してきて味わった感触とそれほど差異はない。ただ、胸を触られる側としての感覚は初めてのことで、心地良さよりも戸惑いが先に立った。
 パジャマのボタンをはずしていくと、襟の間から二つの小山がこぼれ出る。就寝中だったからか、ブラジャーは着けていない。
 平凡なりに女らしさを十分に感じさせる胸の隆起をこれまでとは全く視点から見下ろし、倒錯的な感覚が芽生える。自分の眼下に乳房がついているのは、何とも言い難い奇妙な光景だった。
 指先を添わすと、触られている感覚が服の上から触った時よりもさらに鋭敏に走る。
 指に力を込めると、おわん型の乳房もそれに合わせて形を変えていった。乳輪は小さくも大きくもなく、大きさも自体も特に目を引くことのない、平凡なサイズだ。
 やや乳首の周囲が黒く感じるのは、この女が既に男の味を知り、子まで孕んだ経産婦だからだろう。鮮やかさはとうに失われ、処女と比べると今ひとつ食指が動かない。
「ん……んぅっ」
 それでも指で丹念にこね回しているとじわじわと快感が広がり、乳首が膨れ上がってきた。
 魂が醜い老人であろうと、このカラダはしっかり女として反応しているのだ。
「いやらしい身体よのぉ。そんなにつまんで欲しいか……あぅんっ!」
 いつものように揶揄しながら乳首を挟み上げると、自分の意思とは関係なく艶めいた声がはじき出された。
 犯した女どもが見せてきた嬌態と同じ反応をしてしまい、わずかに男としてのプライドが揺らぐ。ややもすれば、この刺激に屈して女の快楽の虜になりそうな危うさすらあった。
 しかし、恐れをなして手が止まったのはほんの一瞬だけだ。右手は先ほどより幾分かソフトタッチで乳房を揉みつつ、二本の指で優しく乳首をこする。
「あ……っ、はぁ、んっ……」
 胸の先端から徐々に脳髄へと快感が流れ込み、体の中心から甘い痺れが全体へ広がっていく。
 肉棒をしごけば肉棒のみに快楽が集中する男と違い、女の身体は全身に気持ち良さが拡散していくのだ。波濤のような力強さではなく、水位が徐々に上がっていくような快感だった。
「んぅ……これは、なかなか……むぅ、しかも、この感じは……」
 下半身を覆い隠す布団を払いのけると、すらりと伸びた脚が現れる。パジャマの袖口からのぞくつま先を動かすと、小さな足もその通りに動いた。
 ズボンをおろせばスネ毛などまるで生えていないような白い脚と、水色のショーツに包まれたのっぺりとした股間が月夜に浮かび上がる。
 ぴっちりと閉じた太もももは、肉棒を差し込むのにちょうどいい狭さをしていた。生前の、幾人もの女を味わった自分の肉竿がこの太ももの間を前後する光景をまざまざと思い浮かべ、そうするとますます体が、とりわけ股間の部分が熱を帯びていく。
 下着を脱ぎ、上下が逆さになったY字の交差点に手を添えると、生い茂った陰毛の先に慣れ親しんだ肉棒の感触はなくあわやそのまま菊座にまでするりと到達してしまいそうだった。あるべきものがない喪失感と、繁みの奥に潜む秘所の存在感が、この肉体が女の物であるということを改めて意識させられる。
「うーむ……しかし、ここからではよく見えんな」
 指先が秘唇に触れているのはわかるが、色や形をはっきり視認するにはいささか遠すぎる。上半身を屈めても、目の前で揺れる乳房が視界を覆い隠してしまった。
 まぁ、おそらく処女とは比べ物にならない醜い形をしているだろうし、そんなものが見えたところで気分が萎えるだけだろう。秘部の観察を早々に諦め、私は再び割れ目の奥に手を伸ばした。
 さりさりとした柔らかい陰毛に覆われた陰唇の入り口を、そっとなぞるように指を動かす。その途端、乳首に触れたとき以上の鋭い刺激が背筋を駆け抜けた。
「こ、これは……んんんぅっ、思った以上に強烈……ふぁ、あ、んんっ」
 薄暗い室内に、女の嬌声が響く。その声を自分自身が出している現実がひどく興奮した。喘ぎ声も快楽も、女のすべてを自分の思い通りにできるという征服感は、凌辱にもひけを取らない愉悦をもたらす。
 触っていくうちに、股間から何かがあふれ出てくる感覚に気付いた。目の前へ指を引き戻すと、ぬめり気のある透明な液体がまとわりついていた。
「フォホホホホ、濡れているではないか。そうかそうか、そんなに爺の肉棒が欲しいか」
 揶揄すると、ますます股間が熱くなっていく。
 残念ながら既にこの世から私の男根は抹消され、欲望を満たすことはかなわない。代わりに張り型でも入れてやろうかと一瞬思ったが、今は自分が入れられる側なのだと思うとあまり乱暴にするのもためらわれた。
 仕方なく指だけの愛撫で快感を追求する。濡れそぼったアソコは、細い指をなんなく滑り込ませた。
「くうぅんっ!」
 股間に異物が侵入した瞬間、身体がビクンと震え、甘い嬌声を上げってしまった。
 全身をやさしく包み込んでいた痺れがいきなり強い電流に変わったような、痛みを伴う刺激に侵される。
「くは……よもや、この程度で悲鳴を上げるとは」
 女が泣き叫ぶのも頷ける。女体の繊細さを身をもって経験し、これから多少は気を遣ってやろう……などという気持ちは頭の片隅にもない。
 むしろこんな痛みを与えているのだと知り、私の嗜虐心はますます膨れ上がっていく一方だ。次に女を犯すときは、前戯もそこそこにぶち込んでしまおうと心に決めながら、肉ビラを慎重に広げていく。
 包皮に覆われた肉芽を指の腹で小突いてやると、さらに数段上の刺激に貫かれた。艶めいた鼻声が溢れ、うねる波間へ放り込まれたような感覚に支配される。
「はっ……、ふっ、うぅんっ」
 コリコリした感触を楽しみながら指の動きを速めていくと、うねりはますます大きくなる。男でいうなら射精間際の感覚が一番近い気もするが、それが全身に行き渡り永遠とも思えるほど持続するのならば、もはや比較に意味はなかった。
「な、なんたる不公平……! ふぁ、あ、あああっんっ!」
 憤る言葉も自身の淫らな声によって遮られ、思考がまとまらない。
 包皮をめくり露わになった肉芽をこすれば先ほどの痛みが嘘だったかのように快感が走る。知らず腰が浮き上がり、ベッドのスプリングがギッと軋み上がった。
 初めて味わう異性の快感に振り回され、挙句、暴力的ともいえる快楽の波濤に呑み込まれたせいだろうか。
 とつぜん目の前が明滅し、四肢の先まで行き渡り留まっていた快感が一斉に暴れだした。
「ふひっ?! ん、ああああああああああああっっ!」
 はしたない声を上げ、抵抗する気持ちも起こらずひたすら開放感に没入する。痺れは徐々に体の中心に向かって収束し、その間も気持ちよさはずっと続いていた。
 これが、女の絶頂か。
「んっ……はぁっぁ、ほ、法悦じゃあ……」
 私は両腕を投げ出し、息を整えながらいまだに秘所を中心にして渦巻く快楽の余韻に浸った。

 よもや、これ程とは。こんなにも気持ちの良い思いができるというのに、女どもはなぜ揃いも揃って「イヤ」だの「やめて」だのとほざきよるのか。
 結局、口ではどんなに嫌がっていても体は快感に溺れているわけだ。
 この世の全ての女が肉棒には抗えないという何よりの証拠だった。
「真冬、起きているのか?」
 ふいにドアがノックされ、遠慮がちな男の声が聞こえてくる。
 私が返事をするより先に扉が音をたてて開くと、主の墓前で無礼を働いた男が入ってきた。
 一糸まとわぬ姿でベッドに横たわる妻を見て、男があからさまな動揺をみせる。怨みある強姦魔の一味が愛妻の肉体を操っているとはつゆほどにも疑わず、童貞のように赤面する様子は下手な余興よりもずっと面白い見世物だった。
「ま、真冬、その格好は……?」
(フォホホホ、どれ、少々からかってやるか)
 いたずら心の赴くまま口を開こうとした直後、胸中とはまるで違う女の声が頭の中で響いた。
(んん……何? あの人の声……?)
(ふぉおっ!?)
 女の意識が覚醒し、肉体の主導権が一瞬で逆転する。と同時に、私の意識は体から強制的に追い出されてしまった。
 今しばらく味わっていたかった快楽の余韻も、皮膚の感覚も、全て失われ、もとの亡霊に戻ってしまう。
「あ、あれ? ……私、なにして?……きゃっ」
 真冬はしきりに辺りを見回し、自分が裸でいることに気づくと短い悲鳴をあげて布団を手繰り寄せた。
 私が取り憑いていた間の記憶はないらしい。しかし、なぜ急に主導権を取り戻されたのか……。
「……真冬、愛しているよ」
 予期せぬ肉体の喪失感に戸惑っているあいだ、裸身に魅了されたか、男は甘い声を出して妻に近づいた。女の方も腑に落ちない様子は残しつつ、満更でもない顔で男の接触を許す。
「こ、これ、なにをしている!」
 今にも夫婦の営みが行われそうな空気を察し、私は声を荒げた。
 わずかな時間とはいえ自分のものだった肉体に──自分が掌握した女に──他の男が許しもなく手を触れるなど、認められるはずもない。
 悲しくも亡霊の声は届くことなく、夫婦はどちらからともなく唇を寄せ合った。
 物音ひとつない寝室に、キスの音がひそやかに響く。それを黙って観賞する趣味はない。
「思い知らせてくれるわ」
 私は男の背に狙いをつけ、霊体を下降させていった。全身に衝撃が走り、男の肉体が自分のものとなる……その考えは、見事に裏切られる。
「ふおおっ!?」
 体の中に飛び込んだ瞬間、高圧電流のような衝撃が走り、私はたまらず退いた。
 痛覚を失った霊体でありながら、全身がピリピリと痺れて痛い。気を抜けばこのまま意識が霧散し、霊としての形すら保てなくなりそうだ。
「ぅ……くっ」
 男の方も顔をしかめ、小さな呻き声を上げている。しかし私ほどのダメージはなさそうだ。
「あなた?」
「いや、なんでもない。ちょっとめまいがしただけだよ」
「そう……やっぱり今日はもう休んだら? 疲れているのよ」
「……すまない。そうさせてもらおうかな」
 舌を絡ませあい気分を盛り上げたと言うのに、夫婦は意外なほどあっさり離れた。
 墓地ではさも妻との絆を取り戻したかのような物言いをしていたが、この様子を見る限り薄氷の関係性であることは明らかだ。
 きっかけがあれば、すぐにでもまた家庭崩壊へと陥るだろう。
「じゃあ、おやすみ」
 短い言葉を交わし、男が部屋を出て行く。
 女の方もさきほど私が脱いだ服を拾い集め、時おり首をかしげながらも下着、それから寝間着を身につけベッドに横になった。
「うぅむ……」
 どうやら、誰にでも好きな時に取り憑ける、というわけではないらしい。また、取り憑いている最中に本人の意識が目覚めてしまえば、肉体からはじき出されてしまうようだ。
 適当な男に取り憑いて目に付いた美少女を片っ端から陵辱できると思っていたが、そう甘くはないということか。
「いろいろ試してみるしかあるまい……」
 おぼっちゃまがこの世に舞い戻ってくるまでどれほどかかるかわからぬが、それまでに亡霊としてのルールを把握しておこう。
 亡霊が出来る事と出来ない事をしかと見定め、狩り場も備え、獲物を用意し、万全の体制でお迎えするのだ。
「フォッフォッフォッ、忙しくなりそうですな」
 言葉とは裏腹に、私の心は弾んでいた。
 主に尽くす事が出来る。その悦びは、少女の陵辱にも勝る至高の行為であった。

 私が用意する悪夢を、存分に愉しんで頂こう。
 我が主ならば、悪夢を超えた絶望を生み出すに違いない。
「この古手川、心よりおぼっちゃまのご帰還お待ち申し上げますぞ……」
 私は体を震わせ、自分でもそうとわかる不気味な高笑いを響かせた。







冬へ向け準備中です
古手川の活躍はまだまだ続きます
そんなわけで、またしばらく篭ります……

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原作の方は古すぎて知らないけど、この続きはめっちゃ気になる!
楽しみにしてます!

超命(名)作 之を遣らずに憑依は語れぬ…

ここら辺を漂ってる人達からしたらバイブルな作品ですね。

音楽室からの肝試しが実に良かったw
福引券でビデオデッキを手に入れて見れるテープが無計画に襲われる良い味を出していた…

今でもプレイできる魂な作品(4~5年前にプレイしました)

遊んだことのない方はプレイ必須です!!

コメントありがとうございます

>柊菜緒 さん
ありがとうございます
原作はDL販売もされているので、凌辱系が苦手でないのならぜひプレイをお勧めします。
主人公と古手川の掛け合いが所々シュールだったりで笑える要素もあり、ヒロインの人生を乗っ取る個別エンドもバリエーション豊富でとても良いものです


>Lance さん
テープ全回収・閲覧はわりと面倒ですが、その分、暴虐性が本編よりも高い気がします
肝試し編は湧のシーンと田中姉への無理矢理憑依が好きですね