復讐メイツ 1
少し長めのダークな話を連載していきます
まずは確認
*この物語はフィクションです 実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません
*痴漢などは犯罪です この物語にはそれらの要素が出てきますが、行為を推奨するものではありません
*最初なんでエロなしです
*以上を理解している方のみ閲覧をお願いします 不快になっても責任は負いません
復讐メイツ 1
妙に静かだった。
トロフィーやら賞状やらが棚に飾られた室内は静寂が支配し、壁に掛かった時計の針音だけが唯一こだましている。
「つまり私は……クビ、ですか?」
机を挟んで向かい側に座る禿げ上がった中年男は、俺がそう訊くと大仰にため息をつき、悲痛そうな表情を作って見せた。
「我が校の生徒からは、以前からキミがセクハラをしているというウワサも出回っているのだ……」
「存じ上げません」
苦情なんざ気にしていては、生活指導などできるはずもない。
特にこの盟悠女学園の生徒たちは、頭のネジがゆるい女ばかりだ。
自由な校風がウリだとか言っているが、そんなものは教育を放棄している言い訳にしか過ぎない。特にこの年頃の女どもは甘やかせば甘やかした分だけ付け上がるのだ。
そんなメスガキを更生させねばならないのだから、多少なり指導に熱が入るのは仕方あるまい。
それをあろうことか、セクハラだと?
「学園長、生徒の流言飛語に惑わされないでください。私は潔白です」
「……コレを見たまえ」
学園長はデスクの上で開きっぱなしになっていたノートパソコンをいじり、モニター画面を俺に向かい合わせた。
瞬間、二の句がつげなくなる。
巨大匿名掲示板には、三枚の写真が掲載されていた。そこにいたのは、全て俺だ。
小説すら広げられないほど混み合った満員電車に乗る俺の姿が。
スーツ姿の女に抱きつき、その乳房を揉みしだいている俺の行為が。
涙を浮かべる女と、彼女の耳元で唇を吊り上げる俺の顔が。
まるでその光景を切り取ったかのように、ハッキリ写っている。
「かねてからのウワサに加え、このような写真が世界中に発信されている」
「ち、違う……俺じゃ、ない……」
否定する口調は、自分自身がわかるほどに弱々しい。一方で、頭の中は物凄いスピードで回転していた。
いったい誰がこれを。
あのとき写真を撮っているヤツはいなかった。
仮に撮られたのだとしても、このアングルなら絶対に気付くはずだ。
画像はぼやけておらず、隠し撮りにしてはキレイ過ぎるのも疑問だった。
「そ、そうだ! これは合成です! 誰かが私をハメようと……ッ」
「峰渡(ミネワタ)クン」
学園長が厳しい声を出し、俺の言葉を封じる。
「真偽がどうであろうと、保護者や生徒たちのキミに対する不審はもはや決定的だ。速やかに、辞表を出したまえ」
「ぐっ……ぐぐっ……」
それ以上俺は粘る事ができず、学園長室から追い出されるように立ち去るしかなかった。
「クソ……糞糞糞糞ッ!」
怒りに任せて廊下を足早に進んでいく。
すれ違う生徒たちが俺を見止める度に、不愉快な眼差しを向けてきた。
(辞表だと? ふざけるな!)
懲戒免職にしなかったのは、せめてもの情けか。あるいは単純に、手続きが面倒だったからかもしれない。
いずれにせよ、痴漢の顔写真まで公開されて再就職など不可能に近いだろう。
あの掲示板を見ている人間がどれほどいるか知らないが、俺としては懲戒免職を食らったも同然だ。
「ね……ミネワタ……」
「痴漢……ってね……」
壁際でこそこそと話すメスガキどもが鬱陶しい。いますぐ生徒指導室に連れ込み、その陰湿な性根を叩き直してやろうか。
「貴様ら、いつまで残っている! さっさと帰れ!」
「キャーッ!」
黄色い声を上げて、遠巻きに俺を眺めていた生徒たちが散っていく。
ものの一分も掛からず、廊下はあっというまに放課後の静けさに包まれた。
「はぁ、はぁ……くそったれ……ッ!」
だがいまだに怒りは覚めやらない。
世間は、わかっていない。
年頃の女どもを教育するのがどれほどストレスなのか、わかっていない。
その鬱憤を晴らすための行為が、なぜ咎められなければならないのか。
「そうだ、俺は悪くない……!」
声に出し、自分の潔白を再認識する。
同時に、決意の炎が燃え上がった。
理不尽な成り行きと、俺を追い詰めた顔も知らない相手への憤怒が心を支配する。
必ず、見つけ出してやる。
どんな手を使ってでも、
何をしてでも。
セクハラのウワサを流した生徒に。写真をインターネットに流した人物に!
俺は、復讐をするのだ!
「無理ですよ、先生だけでは」
誰もいなくなったと思っていた廊下に、静かな女の声が響いた。
振り向き、決意に水を差した相手を確かめる。
背後に居たのは、右目に眼帯をしたセミショートの女だった。
盟悠学園のシンプルな紺色のブレザーを着て、チェック模様の入った青いスカートをひらひらとなびかせゆっくりとした足取りで近づいてくる。
女の足首には、包帯が巻かれていた。
小柄で、ひどくやつれた細い体躯とあわせてまるで病人のような印象を与えてくる。
「こんにちは、先生」
俺の前まで来ると、生徒は左目を細めてにっこりと笑った。だが、その瞳は泥沼のように淀みきっている。
少女の不気味な雰囲気に気圧され、先程までの怒りは掻き消えてしまった。
「な、何の用だ……早く帰れ」
「復讐、するんですよね?」
俺の言葉を無視して、少女は微笑を浮かべたままさらりと告げた。
そうだ。俺は、俺を追い詰めた者を許しはしない。
しかしなぜ、この女はそれを知っている? 口に出してはいないはずだ。
「先生のお顔を見ていればわかります」
口元に手を添えて、クスクスと声を漏らす。なにが、そんなにおかしいのか。
「でも、お一人では無理ですよ。警察沙汰になって終わるだけです」
「……試してみるか?」
俺は女の腕を掴み、睨みつけた。
どうせクビになるのなら、生徒に手を出してから辞めてやる。眼帯はしているものの、よく見れば女の顔立ちは悪くない。体つきもメリハリがないが、それがかえってそそられる。
「指導してやる。来い」
「……ふふ。誤解しないでください、先生」
「!?」
それは、本当に一瞬だった。
めまいがしたかと思った次の瞬間、腕に激痛が走った。
加えて、まるで足元が陥没したかのように目線が低くなっている。視界も、ひどく狭まっていた。
「なっ……なにが……」
次に驚いたのは声だった。妙に高くなっている。いや、それよりも目の前に居る男は誰だ。
男は俺の腕を掴み、ニヤニヤと品のない笑みを浮かべている。
「……お、俺?」
その顔は、鏡で見る自分自身のものとまったく同じだった。
「お一人では無理、と、私は言ったんです」
目の前の『俺』はそう言い、俺のやけに細くなった腕をゆっくりと離す。
改めて身体を見下ろすと、女の制服をまとっていた。
慌てて廊下の窓ガラスを振り向き、自分の姿を確かめる。
眼帯をした女子生徒が、驚いた表情で、こちらを見つめていた。
「だから」
男の声が耳に入った直後、再び一瞬のめまいに襲われる。
まばたきをするような短い時間の間に、俺は再び女子生徒を見下ろす形になっていた。
「私が……この、真壁雪美(マカベ ユキミ)が」
横を向いていた眼帯女が振り向く。
露出した左目に、隠しきれない狂気の光りを宿らせて。
「一緒に、復讐をしてあげます」
それでもなお、少女は穏やかに笑っていた────。
ABC終わってないしクリスマスなのに……
ちなみに元ネタにしたのは『連続>>>レイプ』というエロゲです
『絶望』には劣るもののおいしすぎる+惜し過ぎる展開を見せてくれる憑依モノです
まぁ、あまり原形はとどめていませんが…
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まずは確認
*この物語はフィクションです 実在の人物・団体・事件などにはいっさい関係ありません
*痴漢などは犯罪です この物語にはそれらの要素が出てきますが、行為を推奨するものではありません
*最初なんでエロなしです
*以上を理解している方のみ閲覧をお願いします 不快になっても責任は負いません
復讐メイツ 1
妙に静かだった。
トロフィーやら賞状やらが棚に飾られた室内は静寂が支配し、壁に掛かった時計の針音だけが唯一こだましている。
「つまり私は……クビ、ですか?」
机を挟んで向かい側に座る禿げ上がった中年男は、俺がそう訊くと大仰にため息をつき、悲痛そうな表情を作って見せた。
「我が校の生徒からは、以前からキミがセクハラをしているというウワサも出回っているのだ……」
「存じ上げません」
苦情なんざ気にしていては、生活指導などできるはずもない。
特にこの盟悠女学園の生徒たちは、頭のネジがゆるい女ばかりだ。
自由な校風がウリだとか言っているが、そんなものは教育を放棄している言い訳にしか過ぎない。特にこの年頃の女どもは甘やかせば甘やかした分だけ付け上がるのだ。
そんなメスガキを更生させねばならないのだから、多少なり指導に熱が入るのは仕方あるまい。
それをあろうことか、セクハラだと?
「学園長、生徒の流言飛語に惑わされないでください。私は潔白です」
「……コレを見たまえ」
学園長はデスクの上で開きっぱなしになっていたノートパソコンをいじり、モニター画面を俺に向かい合わせた。
瞬間、二の句がつげなくなる。
巨大匿名掲示板には、三枚の写真が掲載されていた。そこにいたのは、全て俺だ。
小説すら広げられないほど混み合った満員電車に乗る俺の姿が。
スーツ姿の女に抱きつき、その乳房を揉みしだいている俺の行為が。
涙を浮かべる女と、彼女の耳元で唇を吊り上げる俺の顔が。
まるでその光景を切り取ったかのように、ハッキリ写っている。
「かねてからのウワサに加え、このような写真が世界中に発信されている」
「ち、違う……俺じゃ、ない……」
否定する口調は、自分自身がわかるほどに弱々しい。一方で、頭の中は物凄いスピードで回転していた。
いったい誰がこれを。
あのとき写真を撮っているヤツはいなかった。
仮に撮られたのだとしても、このアングルなら絶対に気付くはずだ。
画像はぼやけておらず、隠し撮りにしてはキレイ過ぎるのも疑問だった。
「そ、そうだ! これは合成です! 誰かが私をハメようと……ッ」
「峰渡(ミネワタ)クン」
学園長が厳しい声を出し、俺の言葉を封じる。
「真偽がどうであろうと、保護者や生徒たちのキミに対する不審はもはや決定的だ。速やかに、辞表を出したまえ」
「ぐっ……ぐぐっ……」
それ以上俺は粘る事ができず、学園長室から追い出されるように立ち去るしかなかった。
「クソ……糞糞糞糞ッ!」
怒りに任せて廊下を足早に進んでいく。
すれ違う生徒たちが俺を見止める度に、不愉快な眼差しを向けてきた。
(辞表だと? ふざけるな!)
懲戒免職にしなかったのは、せめてもの情けか。あるいは単純に、手続きが面倒だったからかもしれない。
いずれにせよ、痴漢の顔写真まで公開されて再就職など不可能に近いだろう。
あの掲示板を見ている人間がどれほどいるか知らないが、俺としては懲戒免職を食らったも同然だ。
「ね……ミネワタ……」
「痴漢……ってね……」
壁際でこそこそと話すメスガキどもが鬱陶しい。いますぐ生徒指導室に連れ込み、その陰湿な性根を叩き直してやろうか。
「貴様ら、いつまで残っている! さっさと帰れ!」
「キャーッ!」
黄色い声を上げて、遠巻きに俺を眺めていた生徒たちが散っていく。
ものの一分も掛からず、廊下はあっというまに放課後の静けさに包まれた。
「はぁ、はぁ……くそったれ……ッ!」
だがいまだに怒りは覚めやらない。
世間は、わかっていない。
年頃の女どもを教育するのがどれほどストレスなのか、わかっていない。
その鬱憤を晴らすための行為が、なぜ咎められなければならないのか。
「そうだ、俺は悪くない……!」
声に出し、自分の潔白を再認識する。
同時に、決意の炎が燃え上がった。
理不尽な成り行きと、俺を追い詰めた顔も知らない相手への憤怒が心を支配する。
必ず、見つけ出してやる。
どんな手を使ってでも、
何をしてでも。
セクハラのウワサを流した生徒に。写真をインターネットに流した人物に!
俺は、復讐をするのだ!
「無理ですよ、先生だけでは」
誰もいなくなったと思っていた廊下に、静かな女の声が響いた。
振り向き、決意に水を差した相手を確かめる。
背後に居たのは、右目に眼帯をしたセミショートの女だった。
盟悠学園のシンプルな紺色のブレザーを着て、チェック模様の入った青いスカートをひらひらとなびかせゆっくりとした足取りで近づいてくる。
女の足首には、包帯が巻かれていた。
小柄で、ひどくやつれた細い体躯とあわせてまるで病人のような印象を与えてくる。
「こんにちは、先生」
俺の前まで来ると、生徒は左目を細めてにっこりと笑った。だが、その瞳は泥沼のように淀みきっている。
少女の不気味な雰囲気に気圧され、先程までの怒りは掻き消えてしまった。
「な、何の用だ……早く帰れ」
「復讐、するんですよね?」
俺の言葉を無視して、少女は微笑を浮かべたままさらりと告げた。
そうだ。俺は、俺を追い詰めた者を許しはしない。
しかしなぜ、この女はそれを知っている? 口に出してはいないはずだ。
「先生のお顔を見ていればわかります」
口元に手を添えて、クスクスと声を漏らす。なにが、そんなにおかしいのか。
「でも、お一人では無理ですよ。警察沙汰になって終わるだけです」
「……試してみるか?」
俺は女の腕を掴み、睨みつけた。
どうせクビになるのなら、生徒に手を出してから辞めてやる。眼帯はしているものの、よく見れば女の顔立ちは悪くない。体つきもメリハリがないが、それがかえってそそられる。
「指導してやる。来い」
「……ふふ。誤解しないでください、先生」
「!?」
それは、本当に一瞬だった。
めまいがしたかと思った次の瞬間、腕に激痛が走った。
加えて、まるで足元が陥没したかのように目線が低くなっている。視界も、ひどく狭まっていた。
「なっ……なにが……」
次に驚いたのは声だった。妙に高くなっている。いや、それよりも目の前に居る男は誰だ。
男は俺の腕を掴み、ニヤニヤと品のない笑みを浮かべている。
「……お、俺?」
その顔は、鏡で見る自分自身のものとまったく同じだった。
「お一人では無理、と、私は言ったんです」
目の前の『俺』はそう言い、俺のやけに細くなった腕をゆっくりと離す。
改めて身体を見下ろすと、女の制服をまとっていた。
慌てて廊下の窓ガラスを振り向き、自分の姿を確かめる。
眼帯をした女子生徒が、驚いた表情で、こちらを見つめていた。
「だから」
男の声が耳に入った直後、再び一瞬のめまいに襲われる。
まばたきをするような短い時間の間に、俺は再び女子生徒を見下ろす形になっていた。
「私が……この、真壁雪美(マカベ ユキミ)が」
横を向いていた眼帯女が振り向く。
露出した左目に、隠しきれない狂気の光りを宿らせて。
「一緒に、復讐をしてあげます」
それでもなお、少女は穏やかに笑っていた────。
ABC終わってないしクリスマスなのに……
ちなみに元ネタにしたのは『連続>>>レイプ』というエロゲです
『絶望』には劣るもののおいしすぎる+惜し過ぎる展開を見せてくれる憑依モノです
まぁ、あまり原形はとどめていませんが…

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