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復讐メイツ 6

寒い寒い寒い

クビになった教師が入れ替わり能力を使って生徒に復讐していく話です

高西このめ 編 2

 復讐メイツ 6 ~高西このめ 2


 怒りが覚めやらぬまま病室に戻ると、高西このめは弟の腕を引いてベッドに押し込めた。
「い、痛ぇよ姉ちゃん」
 乱暴な手つきになってしまったらしく、弟のミノルが苦情を漏らす。申し訳ないと思う一方で、姉としてのプライドと溜まった鬱憤が素直に謝る考えを打ち消した。
「何よ! 元はといえばアンタが勝手に外に出るからいけないんでしょ!?」
 個室のため他の患者の目がないこともあり、このめは遠慮なく大声で怒鳴り散らす。
 本当はこんなことを言いたいわけじゃないのに、出てくる言葉は高圧的な、胸にある想いとは正反対の台詞ばかりだ。
「オレが何しようが、姉ちゃんには関係ないだろ!」
「……」
 ムッとした顔で異議を唱えられ、二の句が告げなくなる。
 確かに医者も外出を禁じてはいない。だが、ミノルは車椅子だった。
 交通事故で脚を負傷し、元通り動かせるようになる可能性はきわめて低いとまで通告されている。その話を聞いて以来、このめは出来る限り弟を外に出さないようにした。
 ちょっとした段差を上がることさえ苦労する自分に絶望してしまわないか。
 何不自由なく歩ける人たちに、負い目を感じてしまわないか。自身に降りかかった不幸を嘆くのではないか。
 好きなサッカーも出来なくなり、それでもボールを手放さない彼の事を思うとこのめはいたたまれない気持ちでいっぱいになる。その結果、どう接していいかわからずつい厳しい物言いになってしまうのだ。
「……なー、姉ちゃん」
 何も言わずにいると、再び弟が口を開いた。
 ギスギスしかけた雰囲気を引きずらないよう努めて、このめも出来る限り軽い調子で応える。
「なに?」
「オレの脚、治るかな」
「それは……」
 何度目だろう。この質問をされるのは。
 そしてそのたびに医者からの残酷な知らせを思い出し、偽りの笑顔を作って見せるのは。
「大丈夫に、決まっているでしょ」
 ミノルには伝えていない。
 自分の脚がもう二度と動かないことを。サッカーはおろか、もう立つ事さえままならないことを。
 高西家が抱えるこの秘密は、本人が気付くまで明かされることはない。父と母とこのめは、そう決めた。
 なのに……。
「そうだよな。あのおっさんもそう言ってくれたしな」
 純粋な笑顔で、ミノルが笑う。
 見知らぬ人間に励まされた事がよほど嬉しいのだろう。
 姉が怪我のことに触れず、普段から辛く当たっている分、彼は公園で会った男の事をいともたやすく信用した。
 もっとも、当のこのめはその遠因が自分にあることになど気付かず、なんて単純な弟なんだと嘆くばかりだ。
「あんなヤツのことなんて忘れなさい」
「えー、なんでだよ」
「あいつ、セクハラ教師なのよ? それに痴漢の常習犯でもあるんだから」
「……姉ちゃん、それ見たの?」
「ただのウワサよ」
 しかし実際にあの教師はクビになり、学園を追放された。噂話の真偽は定かではないが、このめは真実だったと思っている。
「見てないし、触られてもいないんだ?」
「しつこいなぁ。何が言いたいのよ」
 いやらしい視線を受けた覚えはあった。このめは童顔の割りに身体の発育が良く、通行人や同性からも似たような目でたびたび見られる事が多い。
 ようするに、大きい胸への注目には慣れっこだった。
 もちろん突き刺さる視線が不快であることには変わりなく、友人と集まってここぞとばかりに教師の陰口を叩き合ったことも一度や二度じゃない。
 加えて"リーダー"が黒と言えば、灰色はたちまち真っ黒に染まる。峰渡は生徒の胸やお尻を撫で回す最低最悪のセクハラ教師だと、今ではクラスの誰もがそれを疑っていなかった。
「そのセクハラ教師に、お前のカラダを触らせたのかって訊いているんだよ」
「えっ」
 不意をつくように突き出された弟の手が、下からすくい上げるようにこのめの乳房を掴んだ。
 ミノルが自分の胸をチラチラと盗み見ていたのは知っている。実の弟とはいえ、思春期の少年であることには変わりないしこのめもそれは理解しているつもりだった。
 だがこうして直接手を出してくるなどと、ありえない。
「なっ、何するのよ!」
 ミノルの手を叩き払い、ベッドから一歩後退る。
 ベッドの上の弟は、狼狽する姉を面白がるよう笑みを浮かべていた。
「今みたいに揉まれた事はあるか? ないだろう? 憶測で人の悪い噂を流しておいて、ちっとも反省していないのか?」
「何よ、その言葉遣い。あんたお姉ちゃんに向かって……ッ」
「先生はお前のせいでクビになったんだ。申し訳ないと思わないのか」
「…………なんで、アイツの肩を持つの?」
 目の前にいるのは弟ではない。
 このめの直感が、たった今それを告げた。
「誰、あんた」
「……くくっ、はーっはっはっは!」
 厳しい目を向けられて、それでもなお、弟の姿をした何者かは笑っていた。
「俺の正体に気付こうが気付くまいが……お前はもう、手遅れなんだよ」
 ピタリと笑い声を止め、獲物を狙うタカのような目で睨まれる。
 急いで逃げなければ。正体不明の不安に駆られ、このめはすぐ後ろにある出入り口を目指した。
 目指した、はずだった。
「……え、嘘、なんで」
 脚がピクリとも動かなかった。
 それどころか、まばたきよりも短いその一瞬でドアがあんなにも遠くなっている。
 後ろから誰かに引き寄せられたわけではない。そもそも、『このめ』の肉体は一歩も動いていなかった。
「あ……たし……?」
 目の前には、長い金髪を左右に結んだ少女が立っている。
 自分と同じ服装の、自分と同じ顔をした、自分と同じ声の女が──先程までの弟と同じ気味の悪い笑みを浮かべて、このめを見下ろしていた。

+++

「弟のカラダはどうだ? 高西よ」
 このめの砂糖菓子のような甘い声で、下卑た男そのものの喋り方をしてやる。
 幼げな顔立ちの少女に乱暴な言葉遣いをさせているのだと思うと、このめの全てを支配している実感がひとしお湧いてきた。
 目の前の『弟』はしばらく呆然としていたが、俺の言葉を聞き慌てた様子でぺたぺたと体のあちこちを撫で回す。
「う、うそ、これ……そんな……」
 元の自分とは似ても似つかない平らな胸に触れ、ようやく事態が呑み込めてきたらしい。
 油断から弟ではないことを見抜かれてしまったものの、冷静に考えれば俺が有利なのは何も変わらなかった。接触さえ成功すれば、この能力に弱点はないのだ。
「お、弟は……ミノルはどうしたの!?」
「今頃、『俺』のカラダで遊びまわっているさ」
 この姉弟を見たとき、俺の頭にあったのはまず弟のカラダに転換することだった。
 元サッカー少年だったらしいミノルは、自分の足で走り回る事を渇望している。ならば、その願望を叶えてやればいい。
 甘い甘い、悪魔のささやきだ。
 初対面で親切な男のフリをしてやったことも含め、自分の足で歩ける喜びと【しばらくすれば元に戻る。金は自由に使っていい】というメモさえ残しておけば、少年は自らの欲望に抗えない。
 その証拠に、元に戻せとミノルが乗り込んでくる気配は今をもってしてもなかった。
「自分のことより家族の心配か? クラスメイトを楽しそうにいじめる女の言葉とは思えんな」
「うるさい! アタシの声で喋るな!」
 このめは上半身をひねり、ベッドに備え付けられたボタンに手を伸ばす。ナースコールだ。
「人を呼ぶのか? 俺は構わんぞ」
「なっ……」
 スカートのフックを手早く外し、下着とソックスのみの格好になる。上半身はいまだにアウターを着たままだが、かえってそれが痴女っぽさを引き立てていた。
「高西このめは、弟の前でストリップをする露出狂だと世間に教えてやりたいのなら、好きにするがいい」
「何、してんの……この変態! アタシのカラダを返せ!」
「くくっ。男になっても口うるさいんだな、お前は」
 ぎゃあぎゃあ騒ぐこのめを無視して、上着のボタンも外していく。シャツの隙間から、水色のブラジャーが顔をのぞかせた。
「そうカリカリするもんじゃない。せっかくならお前も楽しんだらどうだ」
「ふざっけんな! いいからアタシとミノルを元に戻せ!」
 こちらが有意義な提案をしてやっているのに、このめは聞く耳も持たずわめき続ける。
 つくづく反抗的な女だ。
 そんな女が、どうしてクラスのリーダーにへつらっているのだろう。長いものには巻かれろという主義には到底思えなかった。
 ……まぁ、いい。
 どんな事情があろうと、俺は復讐を続けるまでだ。
「さぁて」
 掛け布団を引っぺがし、『弟』をまたぐようにベッドの上に乗る。
 下はショーツ一枚で、シャツは半脱ぎで、誰が見ても弟を押し倒す姉という構図の出来上がりだ。
「な、何をする気?」
 パジャマのズボンを強引にずり下ろし、見慣れた男の下着を目の当たりにする。
 半裸の巨乳を目の前にしているにもかかわらず、勃起はしていなかった。
「お前の弟は不能か?」
「何を言って……ッ、自分の裸に興奮するわけないでしょう!」
「そうか」
 『このめ』の小さな手でトランクス越しに局部を揉み込む。いきなりの刺激……初めて味わう男としての刺激に反応したのか、『ミノル』は気色の悪い声を上げた。
「ひゃんっ、ちょ、やめ……!」
「ならばお前に、男の欲望というものを教えてやろう」
 しおれたサオを手のひらでこね回しながら、俺はこのめの顔をニヤリと歪めて見せた。







とりあえずここまで
つぎはえろいしーんです
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