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復讐メイツ 7

いけるとこまでガンガンGOGO
クビになった教師が入れ替わり能力を使って生徒に復讐していく話です


東海林深春 編 1

 復讐メイツ 7 ~東海林深春 1


 盟悠女学園のレベルはハッキリ言って低い。
 クラス委員、東海林深春(ショウジ ミハル)は、常々そう思っていた。
 それは彼女が、授業のあとにも塾で勉強を重ね、学年二位を維持し続けられるだけの人物だから……というわけでは、ない。
 二位をキープし続ける実力は本物だが、それ以上に彼女は心根が歪んでいた。
 自分より下等な同級生を見下すことで、深春は優越感に浸っていた。それが、唯一の楽しみであり日常だった。
 もっとも、彼女の本性は親でさえ知らない。
 東海林深春は勉強を教えてくれる面倒見の良い委員長であり、教師に決して逆らわない学年二位の生徒であり、塾通いをする真面目な娘であり、奉仕活動に積極的に取り組む心優しい少女であった。
(くだらない)
 本当の自分を知らず、盲目的に慕ってくれる同級生。高い評価を惜しみなくつける教師。娘のステータスのみ注目し誇らしげでいる両親。
 自分に話しかけてくる全ての人間を、深春は見下していた。
 優秀な自分が不要なバカを"間引き"をしてやらねば、この世はいずれダメになる。
 その第一歩として、深春は盟悠女学園のゴミを排除していた。
 殺すわけではない。
 人生を狂わせる──ただ、それだけだ。
 有能な人間ならば、人生が狂いどん底に落ちたとしても再び這い上がってくるに違いない。もっとも、深春は一度としてそんな人間を見たことはないが。


 最初の"間引き"は、進級してしばらく経った昼休みのことだ。
 深春は噂好きのグループに囲まれながら、表面上は楽しく食事をしていた。
 クラスメイトの話のタネは彼氏か金か試験のことばかりで、そのうえ何一つ建設的な意見を出さない愚痴まみれの会話だ。
 最初は何て馬鹿なんだろうと思って優越に浸っていたが、すぐに飽きてしまった。
 同じ内容。同じ会話。同じ文句。いい加減、うんざりする。
 そんな空気を換えるべく、何気なく放った一言が全ての始まりだった。

「雪美ってさ、なんか暗いよね。私、ああいう子が心配だな」

 そこから先はあっという間だった。
 自分の信頼の厚さも災いし、三日後にはクラスが一丸となって雪美に『余計なお世話』を焼き始めた。
 嫌がる彼女の手を引いてカラオケに誘い。
 早く帰りたがる雪美を無理矢理ファミレスに連れ込み。
 前触れもなく休日に集団で家に押しかけた。
 クラスメイトたちの行動はあくまでも『雪美を明るい子にしてあげよう』という好意であり、少なくともその頃に悪意はなかったはずだ。
 しかし雪美は彼女たちの突然の好意に戸惑い、うろたえていた。
 やがて自分たちの親切が受け入れられないと理解した女子グループは、雪美に対し攻撃を行うようになる。悪意の始まりだ。
 自分の何気ない一言で大勢の人間が動き、大人しくて地味なクラスメイトをいじめの対象にまで追いやったのだ。
「あはは……」
 深春に舞い降りた感情は、後悔ではなく愉悦だった。
 どいつもこいつも、バカばかりだ。


 それ以来、深春はあの快感を忘れられず、たくさんのバカを動かしたくさんのバカを"間引き"してきた。
 『あの子、○○らしいよ』とそそのかしてやれば、噂好きのバカは簡単にその話を信じ、吹聴する。
 "間引き"に例外はなく、最近では気に入らない男性教師を排除してやった。
「ふふ……」
「んー? ゴキゲンだね深春」
「もうすぐ学年末試験なのに、その余裕……羨ましい!」
 過去を振り返っていると、噂好きの二人が笑顔を向けてきた。
 深春の一言を率先して吹聴する、非常に扱いやすい手駒たちだ。
「そんなことないわよ。ただの思い出し笑い」
「へぇ、なになに? 聞かせて聞かせて」
「うぅ~ん……そんなことより」
 身を乗り出して話をせがむ彼女を抑え、チラリと横目を流す。
 このクラスには現在、三つの空席があった。
 いじめで半不登校になった真壁雪美。
 彼女は時折、昼過ぎぐらいからふらりと現れるが、今日は放課後になっても姿を見せなかった。
 後の空席は、北見緑華と高西このめ。今日の"間引き"は、この二人だ。
「知っている? 緑華と、このめのウワサ」
「おっ、出ましたか情報通の深春さん!」
「あの二人、最近ずっと出てこないよね。何かあったの?」
 話題を変えられたことにも気付かず、バカな二人は興味津々な目でこちらを見てくる。
 深春は出来る限り声と眉をひそめ、いかにも忌まわしいものを語るような口調でウワサの種を蒔いた。
「あの二人、自分の弟妹をレイプしたらしいよ。だから、今は自宅謹慎中なんだって」
「えぇっ、マジで!?」
「近親相姦とかないわー、ヒクわー」
「うんうん。自分の妹とか弟を襲うのはレベルが違うよねぇ」
「ねー」
 深春の言葉を疑いもせず、それどころか感心さえしている二人の姿は実に滑稽だった。
 もちろん、肉親をレイプしたなどと聞いたわけではない。たまたま緑華には妹が、このめには弟がいる事を知っていたから、近親相姦ネタをあてがってやっただけだ。
 深春が言えば、根も葉もないウワサすら真実になる。
 緑華やこのめが学園に戻ってきたとき、どんな風にこの話が広まっているのか……今から楽しみだった。
「さて、と」
「あれ、もう帰るの?」
「うん。今日は、ボランティアの日だし」
「そっか。ご苦労さん。勉強してボランティアして、大変だね」
「やっぱ試験余裕じゃないっすかー! ノートちょうだいよー!」
「だーめ。まだ間に合うんだから、自分で勉強しなさい」
 上っ面の会話を繰り広げながら、深春は教室を出る。
 後ろ手に閉めたドアの向こうで、二人の会話が漏れ聞こえた。
「ああ言ってるけど、一週間前になるとちゃんと助けてくれるからねー」
「うんうん。だから深春好きー」

「……ぷっ」
 思わず吹き出し、深春は慌てて昇降口へ向かう。
 勉強を教えるのは、自分の絶対的優位が実感できるからだ。ボランティアだって同じこと。
「今日は、どんな落伍者がいるかなぁ」

 ホームレスへの食事配給。
 その活動への参加は、自分が如何に満たされていて、そして上位のヒエラルキーに位置しているのかを知ることができる、極上の優越感に浸れるイベントだ。






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