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短編「ABCオブTS」 X

「ABCオブTS」という短編を進めます
エロくはないですが、信仰厚い人にはオススメしないのでこっちに…
英単語26文字を頭文字にした短編です


xenoglossia -真性異言-
 グロリアほど敬虔なキリスト教徒もいないだろう。
 十七年前にこの教会の前に捨てられていた彼女は美しく成長し、いまや誰もが慕うシスターになった。
 慈愛に満ちた笑顔は子供たちに慕われ、天使のような声で神の教えを説き、貧困者から富裕層まで全ての人間に分け隔てなく接してくれる心優しき少女だ。
 私は彼女の身柄を預かる者として、非常に誇り高く思う。
 神父として教会を守ることは当然だが、それ以上に彼女の事を守りたい。
 だが、老骨にムチを打つにも限界があった。
 最近では特に腰痛がひどく、立っているだけでも疲労が蓄積されてしまう。
 礼拝の時間など特に立ち通しのため、最近ではもっぱらグロリアに任せざるを得ない始末だ。
「ふぅ~」
「大丈夫ですか神父様。お体の具合でも?」
 心せず大きなため息をついてしまった私に、グロリアが心配そうな顔を向けてくる。
 サファイアのような美しい瞳が不安げに揺れ、私の顔をじっと見つめていた。
「あぁ、いや。大丈夫だよグロリア。心配は要らない」
「でも……」
「そんなことより、これからゼノのところへ行くのだろう? 支度はできているのか」
「……あの、神父様。ゼノの所へは私一人で向かいますので、今日はお休みになっては?」
 気遣うような微笑を浮かべ、彼女が私のしわがれた手を取る。
 まるで優しい心がそのまま体温になったかのような、柔らかく暖かな手だった。
「心配せずとも、大丈夫です。ゼノはいままでだってずっと大人しかったし……」
「そうか……そうだな。だが、何かあったらすぐに連絡しなさい」
 体調が優れないこともあり、私は彼女が一人でゼノと会う事を許してしまった。

 もしこのとき這ってでも彼女と同行をしていれば……あんな事件も、起こらなかったかもしれない。

 私は寝室の机に向かい、ゼノのことについて調べていた。
 ゼノとは、村はずれに住む羊飼いの少年だ。少年といっても、年頃はグロリアと変わらない。
 だが彼は難病に悩まされていた。否。あれを病気といっていいのか、あらゆる書物を紐解いてもいまだにわからない。
 真性異言。
 その人物が扱えるはずのない言語や文字を突如として扱いだす現象。
 例えば、アメリカ生まれのアメリカ育ちでアメリカの田舎から一歩も出たことのないような純朴な少年が、一夜にして異国の言葉を扱い始める事を、そう呼ぶらしい。
 一世紀前なら悪魔が憑いたといっても過言ではない豹変振りだが、時代は変わった。
 現在に生きる我々がゼノにしていることは、神の御名を以って十字を切り、その一方で大病院への紹介と訪問カウンセリングの真似事をしているに過ぎない。
「『神は死んだ』……か」
 我々教会の人間が悪魔憑きとして排除してきた現象は、精神あるいは身体や脳の異常による『病気』だと解き明かされていった。
 科学は目覚しく発展し、宗教は眉唾物として扱われる。今は、そんな時代だ。
 ゼノのような真性異言にも、やがて何らかの説明が成されるだろう。科学的見解から発生原因と対抗手段を編み出していく人類を頼もしく思いながら、信心深い人間と自負する私にはそれはどこか寂しくもあった。

+++

 神は確かに存在し、いつだって我々を見守ってくださっている。
 グロリアは心からそう信じ、人間とは常に善なる魂を持つと考えていた。
 ではなぜ世の中には凶悪犯罪が跋扈しているのか? それは、悪霊の仕業だ。
 善なる人間に取り憑き、悪行を重ね地獄へ引きずり込む邪悪なる魂が、この世を乱しているのだ。
 自分が教会に拾われたのは、まさにそのような邪悪たちと戦うためだ。
「悪霊よ! 神に祝福されしその肉体から離れなさい!」
 十字架を突きつけ、威厳たっぷりに宣言する。
 目の前の男は、呆けたように十字架を見つめ、ときどきわけのわからない言葉を呟いていた。その言語は、彼女の知るどの単語にも当てはまらない。
 これが悪霊の仕業ではなくて、なんだというのか。
 神父様は様子見といっていたが、いまも彼が悪霊に好き勝手され苦しんでいるのかと思うと、いてもたってもいられない。だから、勝手だとは思いつつも彼女は悪魔祓いを決行した。
「……初めに言葉があった。言葉は神と共にあった」
 聖書を朗読し、精神を集中させる。
 悪魔祓いなどやったことはないが、自分は神の使いだという信念が彼女の行動を後押しした。
「XXXXXXXX」
 ゼノの不可解な言語には耳を貸さず、グロリアは必死で聖書を読み続ける。
「言葉は神であった。万物は言葉によって成った!」
≪うるせぇ≫
 その声が聞こえたのは、あまりにも唐突だった。
「……今のは」
 ゼノを見る。だが、彼の口は半開きになったまま、一ミリだって動いていなかった。
≪こっちが大人しくしてりゃあ調子に乗りやがって≫
 なのに男の声が、すぐ耳元から聞こえている。
 耳元? 違う。
≪俺はただ、ひっそり暮らしたいだけなんだよ……≫
 その声は、頭の中に直接響いていた。
 単語や発音はゼノが喋ったいたのと全く同じ、聞いたことのない言語だ。だが不思議と、グロリアはそれを直感的に理解できた。
「あなた……悪霊ですね。どこにいるんですか!」
≪悪霊ぉ? ひゃっはっはっは。なるほど、俺は悪霊だったか≫
「神の使い、シスター・グロリアが命じます! 在るべき場所へ還りなさい!」
≪いやだね≫
 ぞくり、と。
 とてつもない悪寒が走り、一瞬だけ意識が揺らいだ。
 まるで南極に放り込まれたような、卒倒してもおかしくない寒気が全身にまとわりつく。
≪俺はよぉ。ただ平和に暮らしたいんだよ≫
「やっ、いや……何……!」
 身体がガタガタと震える。なのに、指先一つとして動かす事ができなかった。
≪神の使いだっていうなら、俺のことも救ってくれよ……俺に、新しいカラダをくれよ≫
「めめ、目を、目を開きなさい。暗闇を振り払い、光へと変えなさい。我々は神からの者であり」
≪ひゃはははは! 神様が何をしてくれるんだよぉ!≫
「きゃあっ!?」
 声が一際大きく響き、身体の中でドンッと何かがはじけるような衝撃が走る。
 同時に、寒気が一気になくなる。いや、それどころか地に足を着いている感覚さえなかった。
 見ている景色は同じなのに、まるでテレビの画面を通して見ているような現実感のない光景。
「XXXXXX……!?」
 『いったい何が』。
 そう呟いたはずなのに、グロリアは戦慄した。
「XXX!! XXXXXXX!!」
 自分の言葉が、ゼノの使っていた理解不能の言語になっている。
 さらに自分の意思とは無関係に腕が勝手に動き、修道服の上から自分の大きな乳房を揉みしだいていた。
 混乱の極致に達したというのに、逃げ足が働かない。それどころか、徐々にガニ股へとなっていった。てのひらが弄ぶように胸を乱暴にこね回し、下着の上から乳首をつねる。あるのは痛みだけで、快感など一切なかった。
(ひゃはは、女のカラダは久しぶりだぁ)
 頭の中で、悪霊の声がする。
 いや
 もっと近い。
 耳元で聞くよりも、頭の中よりも、ずっと近い場所だ。
(しかし神様もひでぇなぁ。こんなに信心深い私をお救い下さらないなんて)
 思考そのものが、悪霊と完全に同調している。
 彼女はグロリアであってグロリアではない、別の何かへと変わっていた。

「XXXX……XXXXX」
(やっぱ言葉は変わらないか……まぁいい)
 "私"の記憶によると、神父は"俺"のような存在を真性異言という現象として扱い、科学的な考えを是としている。
 なら、言語が変わろうと神父は"俺"をグロリアとして扱うはずだ。
 そう思うと、気が楽になった。ようやく、平和な生活を送れそうだ。
 グロリアの顔には優しげな笑みなどではなく、唇を吊り上げた陰惨な笑みが浮かんでいた。
(その前に……)
 床に落とした十字架を拾い、チェーンの部分をちぎる。
 それを、"俺"が抜けたショックで気絶したゼノの首に巻きつけた。
 この男は、"俺"を知っている。
 平和な生活を送るには、邪魔な存在だ。
(神の慈悲だ。苦しめずに逝かせてやるよ)
 女の非力な腕でも、無抵抗の人間を絞め殺すことぐらいならできる。
 ほどなくして、ゼノは呻き声を上げることなく力尽きた。
「ヒャハ、ハハハハハハ」
 グロリアの天使のようだと称された声で、悪魔的な笑いを漏らす。
 スッキリした。
 邪魔なヤツはどんどん消していこう。
(さぁてと……まず帰ったら神父様とセックスでもするか)
 神父への愛情表現。
 ガキどもへの性教育。
 貧困者たちへの肉体的な施し。
 やることは山ほどある。

 その全てを"私"が愛する神様にも見てもらおう。
 新しいグロリアにどうか祝福を。
 なんて──な。




イマイチ

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