亡霊犯IF ~瞳
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エロはありません
亡霊犯IF ~長井瞳エンド
ここ最近は長井瞳のカラダで過ごすことが多くなった。
瞳はかなり脆弱な心の持ち主だったが、カラダ自体はそう悪いものではない。空手部のエースというだけあってむしろ男だった頃よりも力強さに溢れている。
このパワーは少女をさらうのにも役に立つだろう。ミヤガセにくれてやろうとも思ったが、手放さなくて正解だ。
しかし人気者の立場というものは、ほったらかしにしておいて持続するものではなかった。
姿見に、今の自分の姿を映す。
スポーツブラにスパッツというラフな格好で鏡に映る少女は、俺に乗っ取られたことで更に鋭い顔つきになっていた。以前ならもう少し親しみやすさもあったが、今では怖がって誰も近づいてこない。
一部では瞳は不良になったのだとウワサまで流れているらしい。部活も長いこと出ていなかったから、事実上の退部扱いを受けている。
まぁ、生き辛くなったらこのカラダを捨てればいいだけだが……スラリとした美しい肉体は、それなりに気に入っていた。
「ん?」
獲物を探すために夜の街に繰り出していると、少女の悲鳴が聞こえた。
「や、やめてください……誰か、誰かぁ!」
「はは、誰も来ねぇよお嬢さん!」
声を頼りに公園までやってくると、小汚い男が暴れる少女の腕を掴み、下卑た笑みを浮かべていた。
「こんな時間に出歩いているなんて、どうせ援助相手でも探していたんだろ? ちゃんと払うからヤらせてくれよ」
「ちが……私は、飲み物を買いに……!」
「たっぷり飲ませてやるさ、俺の精液をなぁ!」
「いやああああ!」
男の気持ちがよくわかる、呆れるほどに見慣れた光景だ。
「やめろ」
しかしそんな俺の思いとは裏腹に、瞳のカラダは勝手にそんなことを言った。
「あぁん、なんだお嬢ちゃん。混ぜて欲しいのか」
「な、長井先輩……」
怪訝な顔をする男と、捕らわれていた少女が俺に視線をよこす。どうやら同じ学園の後輩らしい。
ノースリーズとミニスカートという襲われても仕方のない格好をして、涙目で俺を見ている。なかなかの美少女だ。
「その手を離せ。下衆が」
「はっはっは。ナメんなよ、お嬢ちゃん」
男が少女から手を離し、懐からナイフを取り出す。手馴れた様子から、この男がこれまでにも同じような犯罪を働いてきたことを窺わせた。
「その綺麗な顔を切り裂いてやろうか。嫌だったら、大人しく言う事をききな」
「くくっ」
オリジナリティのないありきたりな脅し文句に失笑してしまう。
「あんだてめぇ! 死にたいのか!」
「そんな恫喝じゃ、少女は怯えないぞ」
言葉と同時に地面を蹴り、一気に間合いを詰める。
一瞬の動きに虚をつかれた男は、ナイフを持った手をあっけなく俺に掴まれた。
「いて、いでででで!」
そのまま腕をねじり、刃物を落とす。
「さて……どうして欲しい? このまま一本ずつ指を折っていこうか?」
「ちっくしょう! 離せメスガキが!」
「お嬢さん。ナイフを拾って。それから、警察に連絡」
「は、はいっ!」
………………。
男を警察に引き渡した俺は、面倒ごとに巻き込まれる前に身を隠した。
「まさか、この俺が強姦魔を捕まえる側になるとはな……」
もちろん、少女を助けたのは、瞳の正義感に影響されたというわけではない。自分のテリトリー内でどことも知れない馬の骨が美少女を犯すのが許せなかっただけだ。
「あ、あの、長井先輩!」
「うん?」
振り向くと、先程の少女が走りながら俺の元へとやってきた。
「さっきはありがとうございました。おかげで助かりました」
助けた本当の理由など知らず、丁寧に頭を下げる。
ここのところ『瞳』を怖がる連中ばかりだったので、少女の態度は非常に俺の気分を良くさせた。
「気にするな。女の敵を見過ごせなかっただけだ」
自分で言ってて吹き出してしまいそうな台詞だが、少女はますます目を輝かせて俺を見ている。
「かっこいい……噂ほど怖い人じゃないのかも……」
小声で呟いているつもりらしいが、丸聞こえだ。
「噂って?」
「ひゃっ! え、えっと、なんでもありません!」
「ごまかさなくていい。どんな噂がある?」
少女の髪を指で梳かしながら、柔らかく微笑んでみせる。
香水の甘い匂いが鼻先をくすぐり、今すぐ押し倒したい思いを更に加速させた。
「あ、あの、せんぱい……くすぐったいです……」
「いいだろう? 女同士なんだから、何も気にする必要はない」
「で、でも……んひゃ、なんか、触り方が……んぁぅ」
髪の毛を触り飽きた指先は、輪郭をなぞるように少女の顔を撫でていく。
喉元をくすぐると、少女の口からは喘ぐような甘い吐息が漏れてきた。
「せ、せんぱいぃ……」
「ふふ……可愛いな」
今にも砕けてしまいそうな少女の腰を抱き、顔を引き寄せる。
少女は潤んだ眼をするだけで、何も抵抗しなかった。
*
少女のつまみ食いをし終えた俺は、上機嫌で瞳の部屋に戻ってきた。
「ふっ、なんて容易い……」
瞳の身体能力を活かして強引に犯す手段もあったが、『悪漢から助けた恩人』という立場を使えば抵抗されることなく少女の肉体を味わえる。この手軽さは初めての経験だった。
例えるのなら立食パーティのような……堅苦しいマナーも必要なく、気軽に食事を楽しむような感覚だ。
絶望や悲鳴というエッセンスこそないが、これはこれでなかなか面白い。
「機会があれば、また楽しむとしよう……」
*
「長井瞳か?」
瞳として日常生活を過ごしていると、ドスの利いた男たちが声をかけてきた。
いかにもな悪人面をした顔ぶれは、よく当局が放置しているなと感心するほどだ。
「弟分が世話になったなぁ。ちょっとツラ貸せ」
「何の話だ」
「とぼけんじゃねぇ! アイツをサツに引き渡したのはてめぇだろ!」
どうやら少女を犯そうとした暴漢の仲間らしい。清々しいほどに短絡的な逆恨みだ。
「女一人にその人数か? 情けないな」
「うるせぇ! いいからさっさと来い!」
強引に手を引かれ、校門の前に停めてあったハイエースへ強引に押し込まれる。
(まさかこの俺が誘拐されるとは……)
瞳の人生は、新しい発見が多い。
俺はますますこのカラダが気に入った。
*
「おら、降りろ!」
車が止まり、乱暴に車から降ろされる。
広々とした倉庫だった。それに、耳を澄ませば波の音も聞こえてくる。どうやら街からかなり離れてしまったらしい。
「くへへへ……さぁて、これからナニされるかわかるか?」
「ひざまづいて命乞いでもしてみろ! そうすりゃフェラだけで許してやらねぇこともないぜ!?」
「まずは服を脱ぎな! それから、俺の靴をなめるんだ!」
ぞろぞろと車から降りてきた男たちが、それぞれ好きな事を言う。品のない連中だ。
「つまり、お前たち三人で私を犯そうというわけか?」
「ひゃはは! 犯すだけじゃねぇぞ! 髪を切って、手足も折って、一生俺たちの肉便器にしてやる!」
「いつまでそのポーカーフェイスを保っていられるか、見物だぜ!」
「……ふっ」
あいにく俺は、連中の茶番にこれ以上付き合うつもりはなかった。
「一分で片付けてやる」
「は? ぐっ!?」
宣言と同時に、近くにいた男のみぞおちに肘を打ち込む。その姿勢からすぐさま掌を顎に叩きつけ、まず一人を黙らせた。
「て、てめぇ!」
連中が驚き身構える間に、一足飛びで間合いに入りローキックをこめかみに食らわせる。制服のスカートが大きく舞い上がり下着が丸見えになってしまったが、男は悦ぶ前に白目を向いて気絶した。
「ひっ、な、なんだてめぇ……く、来るな! 来るなぁ!」
残った男は尻餅をつき、完全に戦意を失っていた。
「一分も必要なかったか」
やはり、まだ瞳の肉体を完全には把握し切れていないらしい。手加減を忘れるとうっかり殺してしまいかねなかった。
ウィークポイントである『由美』を使ったとはいえ、これほど戦闘能力に長けた瞳をよくぞ陥落せしめたものだと自分で自分に感心する。
「お、おお、俺たちが悪かった。も、もう悪いことはしない。だから、どうか命だけは……」
小悪党は命乞いの台詞まで小物だ。
俺はそんな小男の前に屈みこみ、優しく微笑んで見せた。
「いいや、もっと派手に暴れ回れ」
「わかった、約束する! …………え?」
「ただし、いくつかルールに従ってもらうぞ」
……………………
「長井先輩! あーたんが……あーたんが!」
「落ち着いて。何があった?」
教室に駆け込んできた少女の話を聞くと、どうやら彼女の親友が何者かによって誘拐されたらしい。
この街では近頃そんな事件が頻発している。
しかしテレビなどで報道されたことは一度もない。というのも、一日経てば少女は必ず家に戻るので、警察も誘拐は狂言で実際はよくある家出として処理し、まともに取り扱っていなかった。
一部では、神隠しとまで言われている。
しかし連中は知らない。少女たちは誘拐されている間、ずっと裸にされていることを。
「お願いします先輩……あーたんを助けてください!」
「わかった、任せておけ」
俺は少女から『あーたん』の画像を受け取ると、すぐに教室を後にした。
瞳を見送る同級生たちの視線は、以前のような不良を見る目つきではない。
むしろその逆────まるで英雄へ向けるような畏敬で溢れていた。
「お、長井。また出動か?」
「はい」
「大変だな。ああ、出欠にはちゃんとマルをしておくからな」
教師からも信頼の厚い目で見送られ、内申や出席日数にも事欠かない。
俺には関係ないことだが、これからも瞳として生きていくのなら今後役に立つだろう。
「さて」
周囲に人がいないことを確認し、ある男へ電話をかける。
五秒も経たずに出た。
≪あぁ、アネサン。今日の獲物は五番倉庫です≫
「ご苦労。少女に傷はつけていないだろうな」
≪いつもどおり裸にして写真撮っただけッス!≫
「では、今から行く。お前たちは引き上げていいぞ」
≪しかし、なんでこんなまどろっこしい真似するんですかい? アネサンのパワーならどんな女だって好きに押し倒せるでしょう≫
「ふふ……感謝されながらするセックスの味が忘れられなくてな」
小男とのそんなやり取りを交わし、通話を切る。
誘拐された少女も、救援を依頼する者も、まさか誘拐犯と瞳が結託しているなどつゆ程も思っていない。
正義感に溢れる、ストイックな空手女という以前の立場も効果的だった。
犯人たちは美少女の全裸画像と財布だけで満足し、さらわれた少女は瞳というヒーローの登場で心を許し、衣服をまとわない肢体をたやすく委ねてくる。
依頼者も一日待つことなく友達を取り戻し、そして俺は感謝をされながら少女をつまみ食いできる。
誰も傷つくことのない、完璧な好循環だ。
「さて……捕らわれのお姫様を救うとするか」
犯罪者だった俺が英雄になり、被害者が黒幕に感謝する。
瞳の人生は、まだまだ始まったばかりだ────。
瞳エンド
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亡霊犯IF ~長井瞳エンド
ここ最近は長井瞳のカラダで過ごすことが多くなった。
瞳はかなり脆弱な心の持ち主だったが、カラダ自体はそう悪いものではない。空手部のエースというだけあってむしろ男だった頃よりも力強さに溢れている。
このパワーは少女をさらうのにも役に立つだろう。ミヤガセにくれてやろうとも思ったが、手放さなくて正解だ。
しかし人気者の立場というものは、ほったらかしにしておいて持続するものではなかった。
姿見に、今の自分の姿を映す。
スポーツブラにスパッツというラフな格好で鏡に映る少女は、俺に乗っ取られたことで更に鋭い顔つきになっていた。以前ならもう少し親しみやすさもあったが、今では怖がって誰も近づいてこない。
一部では瞳は不良になったのだとウワサまで流れているらしい。部活も長いこと出ていなかったから、事実上の退部扱いを受けている。
まぁ、生き辛くなったらこのカラダを捨てればいいだけだが……スラリとした美しい肉体は、それなりに気に入っていた。
「ん?」
獲物を探すために夜の街に繰り出していると、少女の悲鳴が聞こえた。
「や、やめてください……誰か、誰かぁ!」
「はは、誰も来ねぇよお嬢さん!」
声を頼りに公園までやってくると、小汚い男が暴れる少女の腕を掴み、下卑た笑みを浮かべていた。
「こんな時間に出歩いているなんて、どうせ援助相手でも探していたんだろ? ちゃんと払うからヤらせてくれよ」
「ちが……私は、飲み物を買いに……!」
「たっぷり飲ませてやるさ、俺の精液をなぁ!」
「いやああああ!」
男の気持ちがよくわかる、呆れるほどに見慣れた光景だ。
「やめろ」
しかしそんな俺の思いとは裏腹に、瞳のカラダは勝手にそんなことを言った。
「あぁん、なんだお嬢ちゃん。混ぜて欲しいのか」
「な、長井先輩……」
怪訝な顔をする男と、捕らわれていた少女が俺に視線をよこす。どうやら同じ学園の後輩らしい。
ノースリーズとミニスカートという襲われても仕方のない格好をして、涙目で俺を見ている。なかなかの美少女だ。
「その手を離せ。下衆が」
「はっはっは。ナメんなよ、お嬢ちゃん」
男が少女から手を離し、懐からナイフを取り出す。手馴れた様子から、この男がこれまでにも同じような犯罪を働いてきたことを窺わせた。
「その綺麗な顔を切り裂いてやろうか。嫌だったら、大人しく言う事をききな」
「くくっ」
オリジナリティのないありきたりな脅し文句に失笑してしまう。
「あんだてめぇ! 死にたいのか!」
「そんな恫喝じゃ、少女は怯えないぞ」
言葉と同時に地面を蹴り、一気に間合いを詰める。
一瞬の動きに虚をつかれた男は、ナイフを持った手をあっけなく俺に掴まれた。
「いて、いでででで!」
そのまま腕をねじり、刃物を落とす。
「さて……どうして欲しい? このまま一本ずつ指を折っていこうか?」
「ちっくしょう! 離せメスガキが!」
「お嬢さん。ナイフを拾って。それから、警察に連絡」
「は、はいっ!」
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男を警察に引き渡した俺は、面倒ごとに巻き込まれる前に身を隠した。
「まさか、この俺が強姦魔を捕まえる側になるとはな……」
もちろん、少女を助けたのは、瞳の正義感に影響されたというわけではない。自分のテリトリー内でどことも知れない馬の骨が美少女を犯すのが許せなかっただけだ。
「あ、あの、長井先輩!」
「うん?」
振り向くと、先程の少女が走りながら俺の元へとやってきた。
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ここのところ『瞳』を怖がる連中ばかりだったので、少女の態度は非常に俺の気分を良くさせた。
「気にするな。女の敵を見過ごせなかっただけだ」
自分で言ってて吹き出してしまいそうな台詞だが、少女はますます目を輝かせて俺を見ている。
「かっこいい……噂ほど怖い人じゃないのかも……」
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「噂って?」
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香水の甘い匂いが鼻先をくすぐり、今すぐ押し倒したい思いを更に加速させた。
「あ、あの、せんぱい……くすぐったいです……」
「いいだろう? 女同士なんだから、何も気にする必要はない」
「で、でも……んひゃ、なんか、触り方が……んぁぅ」
髪の毛を触り飽きた指先は、輪郭をなぞるように少女の顔を撫でていく。
喉元をくすぐると、少女の口からは喘ぐような甘い吐息が漏れてきた。
「せ、せんぱいぃ……」
「ふふ……可愛いな」
今にも砕けてしまいそうな少女の腰を抱き、顔を引き寄せる。
少女は潤んだ眼をするだけで、何も抵抗しなかった。
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少女のつまみ食いをし終えた俺は、上機嫌で瞳の部屋に戻ってきた。
「ふっ、なんて容易い……」
瞳の身体能力を活かして強引に犯す手段もあったが、『悪漢から助けた恩人』という立場を使えば抵抗されることなく少女の肉体を味わえる。この手軽さは初めての経験だった。
例えるのなら立食パーティのような……堅苦しいマナーも必要なく、気軽に食事を楽しむような感覚だ。
絶望や悲鳴というエッセンスこそないが、これはこれでなかなか面白い。
「機会があれば、また楽しむとしよう……」
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「長井瞳か?」
瞳として日常生活を過ごしていると、ドスの利いた男たちが声をかけてきた。
いかにもな悪人面をした顔ぶれは、よく当局が放置しているなと感心するほどだ。
「弟分が世話になったなぁ。ちょっとツラ貸せ」
「何の話だ」
「とぼけんじゃねぇ! アイツをサツに引き渡したのはてめぇだろ!」
どうやら少女を犯そうとした暴漢の仲間らしい。清々しいほどに短絡的な逆恨みだ。
「女一人にその人数か? 情けないな」
「うるせぇ! いいからさっさと来い!」
強引に手を引かれ、校門の前に停めてあったハイエースへ強引に押し込まれる。
(まさかこの俺が誘拐されるとは……)
瞳の人生は、新しい発見が多い。
俺はますますこのカラダが気に入った。
*
「おら、降りろ!」
車が止まり、乱暴に車から降ろされる。
広々とした倉庫だった。それに、耳を澄ませば波の音も聞こえてくる。どうやら街からかなり離れてしまったらしい。
「くへへへ……さぁて、これからナニされるかわかるか?」
「ひざまづいて命乞いでもしてみろ! そうすりゃフェラだけで許してやらねぇこともないぜ!?」
「まずは服を脱ぎな! それから、俺の靴をなめるんだ!」
ぞろぞろと車から降りてきた男たちが、それぞれ好きな事を言う。品のない連中だ。
「つまり、お前たち三人で私を犯そうというわけか?」
「ひゃはは! 犯すだけじゃねぇぞ! 髪を切って、手足も折って、一生俺たちの肉便器にしてやる!」
「いつまでそのポーカーフェイスを保っていられるか、見物だぜ!」
「……ふっ」
あいにく俺は、連中の茶番にこれ以上付き合うつもりはなかった。
「一分で片付けてやる」
「は? ぐっ!?」
宣言と同時に、近くにいた男のみぞおちに肘を打ち込む。その姿勢からすぐさま掌を顎に叩きつけ、まず一人を黙らせた。
「て、てめぇ!」
連中が驚き身構える間に、一足飛びで間合いに入りローキックをこめかみに食らわせる。制服のスカートが大きく舞い上がり下着が丸見えになってしまったが、男は悦ぶ前に白目を向いて気絶した。
「ひっ、な、なんだてめぇ……く、来るな! 来るなぁ!」
残った男は尻餅をつき、完全に戦意を失っていた。
「一分も必要なかったか」
やはり、まだ瞳の肉体を完全には把握し切れていないらしい。手加減を忘れるとうっかり殺してしまいかねなかった。
ウィークポイントである『由美』を使ったとはいえ、これほど戦闘能力に長けた瞳をよくぞ陥落せしめたものだと自分で自分に感心する。
「お、おお、俺たちが悪かった。も、もう悪いことはしない。だから、どうか命だけは……」
小悪党は命乞いの台詞まで小物だ。
俺はそんな小男の前に屈みこみ、優しく微笑んで見せた。
「いいや、もっと派手に暴れ回れ」
「わかった、約束する! …………え?」
「ただし、いくつかルールに従ってもらうぞ」
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「長井先輩! あーたんが……あーたんが!」
「落ち着いて。何があった?」
教室に駆け込んできた少女の話を聞くと、どうやら彼女の親友が何者かによって誘拐されたらしい。
この街では近頃そんな事件が頻発している。
しかしテレビなどで報道されたことは一度もない。というのも、一日経てば少女は必ず家に戻るので、警察も誘拐は狂言で実際はよくある家出として処理し、まともに取り扱っていなかった。
一部では、神隠しとまで言われている。
しかし連中は知らない。少女たちは誘拐されている間、ずっと裸にされていることを。
「お願いします先輩……あーたんを助けてください!」
「わかった、任せておけ」
俺は少女から『あーたん』の画像を受け取ると、すぐに教室を後にした。
瞳を見送る同級生たちの視線は、以前のような不良を見る目つきではない。
むしろその逆────まるで英雄へ向けるような畏敬で溢れていた。
「お、長井。また出動か?」
「はい」
「大変だな。ああ、出欠にはちゃんとマルをしておくからな」
教師からも信頼の厚い目で見送られ、内申や出席日数にも事欠かない。
俺には関係ないことだが、これからも瞳として生きていくのなら今後役に立つだろう。
「さて」
周囲に人がいないことを確認し、ある男へ電話をかける。
五秒も経たずに出た。
≪あぁ、アネサン。今日の獲物は五番倉庫です≫
「ご苦労。少女に傷はつけていないだろうな」
≪いつもどおり裸にして写真撮っただけッス!≫
「では、今から行く。お前たちは引き上げていいぞ」
≪しかし、なんでこんなまどろっこしい真似するんですかい? アネサンのパワーならどんな女だって好きに押し倒せるでしょう≫
「ふふ……感謝されながらするセックスの味が忘れられなくてな」
小男とのそんなやり取りを交わし、通話を切る。
誘拐された少女も、救援を依頼する者も、まさか誘拐犯と瞳が結託しているなどつゆ程も思っていない。
正義感に溢れる、ストイックな空手女という以前の立場も効果的だった。
犯人たちは美少女の全裸画像と財布だけで満足し、さらわれた少女は瞳というヒーローの登場で心を許し、衣服をまとわない肢体をたやすく委ねてくる。
依頼者も一日待つことなく友達を取り戻し、そして俺は感謝をされながら少女をつまみ食いできる。
誰も傷つくことのない、完璧な好循環だ。
「さて……捕らわれのお姫様を救うとするか」
犯罪者だった俺が英雄になり、被害者が黒幕に感謝する。
瞳の人生は、まだまだ始まったばかりだ────。
瞳エンド

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