亡霊犯+ 3
廃校に肝試しに来た男女を絶望させていく話です
時間が少し戻ります
1、まず獲物を用意します
2、狩りを楽しみます
エロイ事もしてみましょう
3、獲物はたくさん狩りましょう
亡霊犯+ 廃校の亡霊裏 3
二組目が出発し、残されたのはアタシとナガミン、温井君の三人だけになった。
ナガミンこと七倉長見ちゃんは、ちっちゃくて物凄く可愛い。左右に束ねられた長いツインテールは童顔な彼女に良く似合っている。
無駄にでっかいアタシとは対照的だ。
だけど今その表情は、どんよりと暗く曇っていた。
「かれんが穢される……ワタシのかれんが……」
先に出発した親友が、ペアになった男の子に襲われると思い込んでいるらしい。『彼はそんな事をする人じゃないよ』と何度かたしなめてみたものの、効果はほとんどなかった。
ナガミンは身体のパーツパーツが全体的に小さく、表情にも乏しいせいかよく人形のようだと言われている。
けど今のこの姿は、幸せの代わりに呪いを振り撒く座敷童子のようにアタシの目には映った。正直、ちょっと怖い。
「おーい、いい加減行こうぜー」
「え、もう時間?」
気だるそうな温井君に急かされ時計を見る。
まだ五分しか経っていない。三組目……アタシたちの出発はあと五分後だ。
「上野みたいなこと言うなよ。どうせ誰もいねぇんだし、バレねぇって」
「そりゃ、アタシだって忍ちゃんみたいに固いことは言いたくないけどさー」
だけど十分おきに出発というルールを作ったのは自分だ。幼馴染のような杓子定規になるつもりはないが、自分が決めたことぐらいキチンと守りたい。
「早く行けば、可憐のピンチに間に合う。ワタシも賛成」
「えー、ナガミンもー?」
「はい、2対1。民主主義で論破~」
温井君のけらけらと笑う声が、神経を逆撫でする。ついさっきアタシも似たような事を幼馴染に言ったけど、もしかしたら彼もこんな気持ちだったのかな。反省。
「はぁ……じゃ、行こっうか」
先行した四人と同じように、古めかしい扉を開けて木造の校舎の中に入る。
「うっは、思った以上にボロイなっ」
言う通り、建物の中は真っ暗で、懐中電灯をつけなければとても歩けそうになかった。
足を踏み出すたびに床がきしみ、突き出たささくれが剥き出しにしている脚を引っ掻いた。ショートパンツのままで来たのは失敗だったかもしれない。
「早く……早くかれんを探さなきゃ」
「ちょ、ちょっとナガミンっ! そんな早足したら危ないって!」
悪環境も気にせずに、懐中電灯を持つアタシの先をテコテコと進む。可愛いんだけど、どうにも危なっかしい。
「……なぁ、前から思ってたんだけど、七倉ってレズなのか?」
どうでも良さげな口調で、後ろの温井君が呟く。
すると、それまで真っ直ぐ進んでいた彼女の足がピタリと止まり、グリッ! と物凄い勢いで振り向いた。
「ワタシの想いを、汚らしい男の妄想に使うな!」
目を見開いて、普段まったく変化のない表情が怒りを剥き出しにする。その豹変振りは、まるでホラー映画のようだった。
「男は皆そう……同性への純粋な想いをレズだホモだと揶揄し、嗤い、性的な目でしか物事を測っていない」
「いや、でもお前のはいくらなんでも異常……」
「私の愛は常識になんか縛られない。女と見れば誰彼構わずひん剥くことしか考えていないお前とは重みが違う」
「はぁ? 黙ってりゃテメェなんか勘違いしてませんかねぇ? オレはお前みたいなつるぺたに興味ないんスけどぉ?」
「語るに落ちたな。やはりお前は女を肉体のみでしか見ていない」
どうしよう。
なんか、ナガミンがすっごい喋っている。甘~いロリボイスなのにトゲトゲだー。……いやいやいやそこじゃなくて。
これ、止めなきゃまずいよね。アタシ委員長だし!
「ストーップ! 二人ともそこまで! せっかく旅行に来ているんだから楽しもうよ!」
睨み合う二人の間に入り、押し戻す。
……これって、まいまいの役どころだよねぇ。アタシと忍ちゃんもよく口論してはこうやって彼女にたしなめられていた。
仲裁って意外と疲れる。今度からはなるべく喧嘩しないように注意しよう。別に喧嘩しているつもりはないんだけどさ。
「はぁ……なんか白けた」
先にクールダウンしたのは温井君だった。頭をぼりぼり掻いて、アタシ達から離れていく。
「ちょ、ど、どこ行くの?」
「外で待ってる。そこの勘違いロリと一緒にいてもムカツクだけだからな」
「ええ!?」
何を言い出すのだろう、この男。だいたい、肝試ししようって言った本人がイチ抜けしてどーすんの!
「かれん……」
「って! ナガミンも何事もなかったみたいに先に行かない!」
「じゃあなー、二時間経って戻ってこなかったら通報してやるよ」
「ちょ、ぬーくーいー!?」
ああもう。
クラス委員長は大変だ。
とりあえず温井君は男だし、一人でも大丈夫だろうと判断してナガミンを追いかける。
足場が悪いにもかかわらず彼女の歩く速さは一定で、むしろ懐中電灯を持つアタシの方が遅れ気味だった。
「っていうか、ホントかれんちゃんのこと好きだよねナガミンは。いつから友達なの?」
「今の学園に入ってから」
「そうなの?」
熱愛ぶりからしててっきりアタシと忍ちゃんみたいな幼馴染の関係だと思っていた。
「愛の重みに時間は関係ない」
きっぱりと言い切られる。
うん、まぁ、一年ちょっとの付き合いしかなくても親友には違いない。逆に幼馴染なのにソリの合わないアタシらだっているんだし。
(幼馴染か……)
眼鏡をかけた生真面目男を思い出す。
あいつ、いつからあんな石頭になったんだっけ……。
「────ッ!?」
「ッ!」
忍との思い出に浸ろうとした直後、どこからか叫び声が聞こえてきた。
ナガミンも同じ声を聞いたのか、ちょっとだけ眉をひそめて辺りを見回している。
「……あっちから」
呟いて、またテコテコ足早に歩き出す。どうやら声の正体を確かめるつもりらしい。
アタシも気になるので、なんとなく足音を殺しながら彼女の後に続いた。
「イクッ、イッ……ンンンンンンンンンーーーーッ!!」
トイレの前にたどり着くと、閉じられた個室の一つから女の子の絶叫が聞こえた。
(……イク……って……)
興味本位で見たエロ漫画のような台詞に、顔が熱くなる。……まさか、こんな所で?
「……」
ナガミンと顔を見合わせる。
きっと、アタシと同じ事を考えているんだろう。頬がちょっとだけ赤くなっていた。
(誰? 誰がいるの?)
先に校舎に入った友達の顔が一瞬チラつくけど、彼女達を穢している気がしてすぐにそんな妄想は振り払った。
ありえない。あの二人に限って、こんな気味の悪いところでエロイことなんかしているはずがない。
──ギィ…
きしんだ音を立てて、トイレのドアが開く。
「あっ……?」
個室から出てきたのは。
発情した顔を隠そうともしないでニヤニヤ薄ら笑いを浮かべる、真衣の姿だった。
────────
岩屋利香と別れ、温井はつい今しがた入ってきた昇降口へ引き返していた。
「あーあ、つっまんねぇ」
月山かれんや川俣真衣と親しくなるために企画した肝試しは、くじ引きという運命の女神を魅了し切れず失敗に終わった。
利香も肉体的には十分魅力的だが、いかんせん、背の高い自分よりも更に身長のある女と恋愛する気にはなれない。むしろ七倉長見の方がサイズ的には好みだ。
しかし彼女は彼女で、あの性格に難がある。
本命であるかれん・真衣との同行が絶たれた以上、温井が肝試しを早々に離脱するのはもはや確定していたも同然だった。
「マジで連絡先聞いときゃ良かった……」
懐中電灯代わりに照らしているスマホを見下ろし、ため息をつく。
昼間に会った、美しく妖艶な女性──草木シヅル。
彼女の雰囲気に呑まれ、名前を聞くのが精一杯だったが、今考えれば連絡先も聞かずに別れてしまったのはもったいなかった。
どこかで、もう一度会えるといいのだが……。
「あん?」
携帯電話のライトが照らすその先に、女性の後姿が浮かび上がった。
かれんや真衣ではない。当然、今しがた別れた利香や長見とも違う。
「……シヅル、さん?」
「!」
近づきながら恐る恐る声をかけると、昼間に会った女性が驚いたように振り向いた。
「うっわ、やっぱシヅルさんだ。また会えて嬉しいッスよ」
「…………」
シヅルは何も言わず、怪訝な眼差しを向けてくる。まるで、初めて会う人間を品定めしているような、あまり友好的でない目つきだった。
「シヅルさんも来てたんスね。実は俺たちも…………って、何、しているんスか?」
更に距離を縮めると、彼女の手に金属片が握られているのが見えた。
南京錠だ。光沢のあるその錠前は、この廃校で手に入ったものでないことは明らかだった。
「……運が悪かったな、少年」
シヅルは錠前を捨てると、徒手空拳のような構えを見せる。
日中に出会った妖艶な女性の面影はそこにはなく、目の前の彼女はナイフのように尖った殺気で満ちていた。
「ちょ、ちょっと待って下さい。オレっすよ、昼に会った温井っす!」
「……フンッ」
こちらの言葉になど一切耳を貸さず、シヅルが一足飛びに迫り温井の鼻先を打った。
顔面の痛みに仰け反った次の瞬間には脚払いをされ、受身さえ取れず床に転ばされてしまう。
悲鳴を上げる暇さえなかった。
仰向けに転んだ瞬間、ハイヒールを履いたシヅルが力いっぱいノドを踏みつける。
ヒューヒューと、甲高い風の音が呼吸に混じった。ひょっとしたら風穴が開いたかもしれない。
「あまりカラダを傷つけたくない。とっとと眠れ」
憐憫のカケラさえ窺えない口調で、シヅルは徹底的に、的確に温井の肉体と心を破壊していくのだった。
たくさん集めてたくさんエロイことしましょう
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時間が少し戻ります
1、まず獲物を用意します
2、狩りを楽しみます
エロイ事もしてみましょう
3、獲物はたくさん狩りましょう
亡霊犯+ 廃校の亡霊裏 3
二組目が出発し、残されたのはアタシとナガミン、温井君の三人だけになった。
ナガミンこと七倉長見ちゃんは、ちっちゃくて物凄く可愛い。左右に束ねられた長いツインテールは童顔な彼女に良く似合っている。
無駄にでっかいアタシとは対照的だ。
だけど今その表情は、どんよりと暗く曇っていた。
「かれんが穢される……ワタシのかれんが……」
先に出発した親友が、ペアになった男の子に襲われると思い込んでいるらしい。『彼はそんな事をする人じゃないよ』と何度かたしなめてみたものの、効果はほとんどなかった。
ナガミンは身体のパーツパーツが全体的に小さく、表情にも乏しいせいかよく人形のようだと言われている。
けど今のこの姿は、幸せの代わりに呪いを振り撒く座敷童子のようにアタシの目には映った。正直、ちょっと怖い。
「おーい、いい加減行こうぜー」
「え、もう時間?」
気だるそうな温井君に急かされ時計を見る。
まだ五分しか経っていない。三組目……アタシたちの出発はあと五分後だ。
「上野みたいなこと言うなよ。どうせ誰もいねぇんだし、バレねぇって」
「そりゃ、アタシだって忍ちゃんみたいに固いことは言いたくないけどさー」
だけど十分おきに出発というルールを作ったのは自分だ。幼馴染のような杓子定規になるつもりはないが、自分が決めたことぐらいキチンと守りたい。
「早く行けば、可憐のピンチに間に合う。ワタシも賛成」
「えー、ナガミンもー?」
「はい、2対1。民主主義で論破~」
温井君のけらけらと笑う声が、神経を逆撫でする。ついさっきアタシも似たような事を幼馴染に言ったけど、もしかしたら彼もこんな気持ちだったのかな。反省。
「はぁ……じゃ、行こっうか」
先行した四人と同じように、古めかしい扉を開けて木造の校舎の中に入る。
「うっは、思った以上にボロイなっ」
言う通り、建物の中は真っ暗で、懐中電灯をつけなければとても歩けそうになかった。
足を踏み出すたびに床がきしみ、突き出たささくれが剥き出しにしている脚を引っ掻いた。ショートパンツのままで来たのは失敗だったかもしれない。
「早く……早くかれんを探さなきゃ」
「ちょ、ちょっとナガミンっ! そんな早足したら危ないって!」
悪環境も気にせずに、懐中電灯を持つアタシの先をテコテコと進む。可愛いんだけど、どうにも危なっかしい。
「……なぁ、前から思ってたんだけど、七倉ってレズなのか?」
どうでも良さげな口調で、後ろの温井君が呟く。
すると、それまで真っ直ぐ進んでいた彼女の足がピタリと止まり、グリッ! と物凄い勢いで振り向いた。
「ワタシの想いを、汚らしい男の妄想に使うな!」
目を見開いて、普段まったく変化のない表情が怒りを剥き出しにする。その豹変振りは、まるでホラー映画のようだった。
「男は皆そう……同性への純粋な想いをレズだホモだと揶揄し、嗤い、性的な目でしか物事を測っていない」
「いや、でもお前のはいくらなんでも異常……」
「私の愛は常識になんか縛られない。女と見れば誰彼構わずひん剥くことしか考えていないお前とは重みが違う」
「はぁ? 黙ってりゃテメェなんか勘違いしてませんかねぇ? オレはお前みたいなつるぺたに興味ないんスけどぉ?」
「語るに落ちたな。やはりお前は女を肉体のみでしか見ていない」
どうしよう。
なんか、ナガミンがすっごい喋っている。甘~いロリボイスなのにトゲトゲだー。……いやいやいやそこじゃなくて。
これ、止めなきゃまずいよね。アタシ委員長だし!
「ストーップ! 二人ともそこまで! せっかく旅行に来ているんだから楽しもうよ!」
睨み合う二人の間に入り、押し戻す。
……これって、まいまいの役どころだよねぇ。アタシと忍ちゃんもよく口論してはこうやって彼女にたしなめられていた。
仲裁って意外と疲れる。今度からはなるべく喧嘩しないように注意しよう。別に喧嘩しているつもりはないんだけどさ。
「はぁ……なんか白けた」
先にクールダウンしたのは温井君だった。頭をぼりぼり掻いて、アタシ達から離れていく。
「ちょ、ど、どこ行くの?」
「外で待ってる。そこの勘違いロリと一緒にいてもムカツクだけだからな」
「ええ!?」
何を言い出すのだろう、この男。だいたい、肝試ししようって言った本人がイチ抜けしてどーすんの!
「かれん……」
「って! ナガミンも何事もなかったみたいに先に行かない!」
「じゃあなー、二時間経って戻ってこなかったら通報してやるよ」
「ちょ、ぬーくーいー!?」
ああもう。
クラス委員長は大変だ。
とりあえず温井君は男だし、一人でも大丈夫だろうと判断してナガミンを追いかける。
足場が悪いにもかかわらず彼女の歩く速さは一定で、むしろ懐中電灯を持つアタシの方が遅れ気味だった。
「っていうか、ホントかれんちゃんのこと好きだよねナガミンは。いつから友達なの?」
「今の学園に入ってから」
「そうなの?」
熱愛ぶりからしててっきりアタシと忍ちゃんみたいな幼馴染の関係だと思っていた。
「愛の重みに時間は関係ない」
きっぱりと言い切られる。
うん、まぁ、一年ちょっとの付き合いしかなくても親友には違いない。逆に幼馴染なのにソリの合わないアタシらだっているんだし。
(幼馴染か……)
眼鏡をかけた生真面目男を思い出す。
あいつ、いつからあんな石頭になったんだっけ……。
「────ッ!?」
「ッ!」
忍との思い出に浸ろうとした直後、どこからか叫び声が聞こえてきた。
ナガミンも同じ声を聞いたのか、ちょっとだけ眉をひそめて辺りを見回している。
「……あっちから」
呟いて、またテコテコ足早に歩き出す。どうやら声の正体を確かめるつもりらしい。
アタシも気になるので、なんとなく足音を殺しながら彼女の後に続いた。
「イクッ、イッ……ンンンンンンンンンーーーーッ!!」
トイレの前にたどり着くと、閉じられた個室の一つから女の子の絶叫が聞こえた。
(……イク……って……)
興味本位で見たエロ漫画のような台詞に、顔が熱くなる。……まさか、こんな所で?
「……」
ナガミンと顔を見合わせる。
きっと、アタシと同じ事を考えているんだろう。頬がちょっとだけ赤くなっていた。
(誰? 誰がいるの?)
先に校舎に入った友達の顔が一瞬チラつくけど、彼女達を穢している気がしてすぐにそんな妄想は振り払った。
ありえない。あの二人に限って、こんな気味の悪いところでエロイことなんかしているはずがない。
──ギィ…
きしんだ音を立てて、トイレのドアが開く。
「あっ……?」
個室から出てきたのは。
発情した顔を隠そうともしないでニヤニヤ薄ら笑いを浮かべる、真衣の姿だった。
────────
岩屋利香と別れ、温井はつい今しがた入ってきた昇降口へ引き返していた。
「あーあ、つっまんねぇ」
月山かれんや川俣真衣と親しくなるために企画した肝試しは、くじ引きという運命の女神を魅了し切れず失敗に終わった。
利香も肉体的には十分魅力的だが、いかんせん、背の高い自分よりも更に身長のある女と恋愛する気にはなれない。むしろ七倉長見の方がサイズ的には好みだ。
しかし彼女は彼女で、あの性格に難がある。
本命であるかれん・真衣との同行が絶たれた以上、温井が肝試しを早々に離脱するのはもはや確定していたも同然だった。
「マジで連絡先聞いときゃ良かった……」
懐中電灯代わりに照らしているスマホを見下ろし、ため息をつく。
昼間に会った、美しく妖艶な女性──草木シヅル。
彼女の雰囲気に呑まれ、名前を聞くのが精一杯だったが、今考えれば連絡先も聞かずに別れてしまったのはもったいなかった。
どこかで、もう一度会えるといいのだが……。
「あん?」
携帯電話のライトが照らすその先に、女性の後姿が浮かび上がった。
かれんや真衣ではない。当然、今しがた別れた利香や長見とも違う。
「……シヅル、さん?」
「!」
近づきながら恐る恐る声をかけると、昼間に会った女性が驚いたように振り向いた。
「うっわ、やっぱシヅルさんだ。また会えて嬉しいッスよ」
「…………」
シヅルは何も言わず、怪訝な眼差しを向けてくる。まるで、初めて会う人間を品定めしているような、あまり友好的でない目つきだった。
「シヅルさんも来てたんスね。実は俺たちも…………って、何、しているんスか?」
更に距離を縮めると、彼女の手に金属片が握られているのが見えた。
南京錠だ。光沢のあるその錠前は、この廃校で手に入ったものでないことは明らかだった。
「……運が悪かったな、少年」
シヅルは錠前を捨てると、徒手空拳のような構えを見せる。
日中に出会った妖艶な女性の面影はそこにはなく、目の前の彼女はナイフのように尖った殺気で満ちていた。
「ちょ、ちょっと待って下さい。オレっすよ、昼に会った温井っす!」
「……フンッ」
こちらの言葉になど一切耳を貸さず、シヅルが一足飛びに迫り温井の鼻先を打った。
顔面の痛みに仰け反った次の瞬間には脚払いをされ、受身さえ取れず床に転ばされてしまう。
悲鳴を上げる暇さえなかった。
仰向けに転んだ瞬間、ハイヒールを履いたシヅルが力いっぱいノドを踏みつける。
ヒューヒューと、甲高い風の音が呼吸に混じった。ひょっとしたら風穴が開いたかもしれない。
「あまりカラダを傷つけたくない。とっとと眠れ」
憐憫のカケラさえ窺えない口調で、シヅルは徹底的に、的確に温井の肉体と心を破壊していくのだった。
たくさん集めてたくさんエロイことしましょう

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